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症候群-追放王子ト亡国王女-
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同時刻、
上空――――――

「ふぅん。中国軍は追っ払えたのに今更しかも、どうして首都でもないこの土地に来たのか大体分かったかな」
戦闘機で上空へ上がり、真っ赤に燃える空を見下ろして呟くヴィヴィアン。機内に肘を着き、手の上に乗せた頭を人差し指でトントン叩いている。
「恐らく先日の日本駐屯地のルネ軍の人間が本国に僕の存在を伝えたんだろう…ね!!」


キィン!

振り向き樣にサーベルを引き抜いたヴィヴィアン。何と、レーダーにも観測されなかった1機の朱色の戦闘機がいつの間にか彼の真後ろに居たのだ。ヴィヴィアンのサーベルと敵機のサーベルとが青い火花をバチバチ散らす。敵の黄色の戦闘機に描かれた中国国旗を見て、彼は笑う。
「やっぱり君だけはどうしても僕を捕えてそれをルネに誇示したくて仕方ないみたいだね。国際連盟軍中国代表李 劉邦」
対峙している敵の名を呼べば、敵劉邦は顔を静かに上げる。


ビー!ビー!

「へぇ。すごい。アメリカ軍も呼んでいたんだ?」
敵機接近を知らせる煩わしい程のサイレンがヴィヴィアンの機内に鳴り響く。遠くの空から10機やって来たアメリカ軍戦闘機を捉えても尚彼は動揺を見せるどころか、微笑んでいる。
「という事は、僕を捕えても君だけの成果にするんじゃなくて連盟軍の成果にするって事?独り占めはしない主義なのかな?」


ガッ!

劉邦がヴィヴィアンの機体に一突きするがかわされてしまい、2人は一度距離をとる。
「ゴチャゴチャと煩わしい奴だ。そんなに話し相手が欲しいのなら大人しく捕まれば話し相手くらい用意してやろう」
「あはは!それは有り難いね。でもその気遣いだけ受け取っておく事にするね!」
「!?」
レバーを思い切り前へ倒した直後ヴィヴィアンの機体下部から発射したミサイル何と10発が、たった今援護にやって来たアメリカ軍戦闘機へ向かっていくのと同時に、ヴィヴィアンは劉邦の前から一瞬にして姿を消して…


ドン!ドン!ドン!!

「っ…!」
灰色の煙の中から火の粉をつけて次々落下していくのはアメリカ軍戦闘機の破片達。灰色の煙幕の中からユラリ…姿を現したヴィヴィアンが乗っている黒い1機の戦闘機を瞳に映した劉邦は歯をギリッ…!と鳴らす。
「どう?すごいでしょ僕。最近前線に出てなくて力が有り余っているんだよね」
「…その煩わしい口、二度と開けぬようにしてやる」
「へえ。それはすごく楽しみだね。そうやって僕に大口を叩いた奴で今まで生き残った奴は居ないから、僕の期待を裏切らないで楽しませてね」























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