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First Kiss【完結】
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「っはぁー!超美味しい!やっぱレモンチューハイが一番美味しい!」
鮎川の部屋で散らかして胡座をかきながら只今5本目のチューハイを飲むエミリー。鮎川が心配そうに見てくるけど、無視無視!エミリー酒豪だし強いからこのくらいまだまだ平気だからね!しかもチューハイだからさ!
「鮎川飲まないの?」
「え!あー…うん。まあ…」
むむ…目を反らした。コイツもしかして…。
エミリーが凝視すればする程目を反らす鮎川。
「…お酒飲んだ事無いでしょお前?」
「…!!」
キャハハ!超ビクッ!てなった!バレバレ!
「キャハハ!真面目過ぎじゃん!キモーい!」
「っ!何だよ!飲んだ事無いののどこがキモいんだよ!」
「顔真っ赤じゃん!仕方ないからエミリーのあげる」
「俺が買ったんだけど…」
「はぁ?何か言った?」
「いいえ、何も…」
っとに!いちいち細かい男だし!だから彼女できないんじゃん!
エミリーはレモンチューハイを喉を鳴らしながら飲み干すのに対して、鮎川はエミリーがあげてやった葡萄チューハイをちびちび飲んでるからムカつく!
「男なら一気に飲めっ!」
「無理だし!」
はぁ。ま、いーけど。エミリーは壁に寄りかかりながらケータイを開く。…誰からもメールも着信も無くてイラッときた。





















「はーあ!鮎川が皆の前で馬鹿な事したから、エミリー明日から冴達に仲間外れにされたらどうしよーっ!」
わざと大きい声で言うけど、鮎川は黙ってる。2本目のグレープフルーツチューハイを空けてるし。あれ?てかアイツいつの間に2本目?ま、いーかっ。
「あーあ!エミリーってあの地味ながり勉と仲良いとか噂が広まったらどうしよう?こりゃもう鮎川に責任取ってもらうしかないよねー?」
チラッ、ってまた鮎川の方を見ても無反応!?チューハイまた空けてるし!さすがにムカついて、エミリーは鮎川の方に身を乗り出すの!
「ちょっと鮎川!お前エミリーの話無視すんな!第一お前の…鮎川?」
え?あれ?あれれ?覗き込んだ鮎川の顔は耳まで真っ赤で目は虚ろ。何処を見てるか分からない。でも顔は楽しそうににやけてんの。…もしかして…もしかしてなの?





















「鮎、きゃっ!?」
はぁ!?いきなり左手首を掴まれたし!ブンブンするけど放れない!
「キモい!放せーっ!」
「えみりーちゃんどーして俺のこときらうのっ!?」
「…は?」
え、何なに?何この酔っぱらい!何?この漫画みたいな酔っぱらい!
ひっくひっく、ってしゃっくりしながら怒った口調なんだけど、悲しそうな目をしてエミリーに話し掛けてくる鮎川。
――駄目だ…コイツ酒、弱いんだ…――
「えみりーちゃんのことちょー好きだし!えみりーちゃんのこと誰よりも好きだし!うぅ…」
吐くなよ吐くなよ!?
テーブルに顔を伏せた鮎川が吐かないか心配で顔を引きつらせる…けど、伏せたのは吐きそうだからとかじゃなかったみたい。肩を上下にひくつかせてるんだもん。何?何なの鮎川って…
「怒り上戸?泣き上戸?」
さっきまで怒った口振りだったクセに、今なんてテーブルに顔伏せて泣いてるし!
「っひっく…うっ…」
「男の泣き上戸とかキモいだけだから!」
「っうぅ…」
…仕方ないなぁ!


トスン、

「…っ、えみりーちゃん?」
エミリーは優しい女神様だからねっ!仕方ないから鮎川の隣に座って寄りかかってやったの!
「ボランティアだから!」
「ひっく…ありがと…」























「…別にエミリーは…鮎川の事嫌いじゃないし…」
「うん…」
「ただ地味で…タイプが合わないだけだし…。嫌いなんて言ってないじゃん…」
「うん…」
お酒を飲んだ後普段温厚な人が怒ったりするのってね、普段表に出したいけど出せずに我慢している本当の自分なんだって。だから今の鮎川が本当の鮎川なんだろうね。
チラッ、って横目で見る。相変わらず顔が真っ赤で悲しそうな目をして下ばっかり見てんの。ウザいウザい。あーウザい。
…どうせ酔っぱらった鮎川になら何言っても何しても明日覚えてない…よね?
エミリーは顔を鮎川の顔に近付ける。睫毛が触れそうなくらい。普段の鮎川ならドキッ!として離れるのにね。今の鮎川は、ボーッとしていて離れる素振りすら見せないの。ウケるよね?
「本当はね。今日、打ち上げあったんだよ?」
「うん…」
「だから冴達がレストランに来たでしょ?あれ、打ち上げ」
「うん…」
「何でエミリーが打ち上げ中止って言ったか分かる?」
「うん…」
「本当に分かってんの?」
「んー…?」
駄目だこりゃ。仕方ないなぁ。エミリーが答え、教えてあげる。
身を乗り出すの。鮎川の緑の瞳にエミリーが、エミリーの赤の瞳に鮎川が映る。























「彼方君の事好きになっちゃったからだよっ!」
本当なの。本当なんだもん。最初は本当に好きなんかじゃなかったし。地味でキモくなってたから超ヤダ!ってずーっと思ってた。けど…智にあんな事を言われたあの日。あの病室で、鮎川が智に怒鳴ったあの言葉。

『早く帰れって言ってんだろ!もう一生エミリーの前に現れんな!』

ドラマみたいな展開だった。在り来たりな展開だった。
愛人のエミリーがフラれて泣いてるところを、エミリーに片想いの鮎川が智を怒鳴った。在り来たりな展開だった。けど、その在り来たりな展開と在り来たりな言葉でエミリーは気付いたの。やっと。
――嗚呼。エミリーは、この人に一生ついていけば良いんだ、って――
「んっ…」
酔っぱらってる彼方君は明日どうせ何も覚えてなくて二日酔いで寝込むんだよ。…覚えてなくてイイ。覚えてなくてイイから、今だけエミリーを素直にさせて。
エミリーからしたキス。長いからか、彼方君はちょっと息苦しそう。仕方ないなぁ。溜息を吐いて唇を離してやる。
相変わらず彼方君はボーッとしているけど。
「…彼方君。エミリーの事好き?」
「すきっていっつもいってんじゃん…」
「エミリーはまだ面と向かって彼方君には言えないから…ズルいけど、今だけは好きって言わせてね」
エミリーからまたキスをすれば、今度は彼方君がぎゅーって抱き締めてくれる。彼方君のものかエミリーのものか分からないけど、超うるさくて身体中に響く心臓の音が聞こえる。
深いキスがどちらからともなく離れたら見つめ合っちゃって、何かウケるから笑っちゃった。
「ぷっ…あはは!」
「えみりーちゃん?」
エミリーは彼方君の広い背中に両手を絡めながらエミリーの方にぐいって引っ張る。引っ張れば、そのまま2人してベッドに倒れこむ。
「彼方君、超好き」
「ほんとう?」
「本当なんじゃない?エミリー自分でもびっくりだもん。彼方君の事好きになるなんて思ってもみなかった」
でももしかしたら…
「本当はエミリーも彼方君と同じで…孤児院に居た時から好きだったのかもしれないけど…」
そう呟くエミリーに彼方君からの優しいキス。唇が離れて彼方君と視線が絡む。
久しぶり…うんうん。初めてなの。本当にエミリーの事を好きな人と両思いになれたのなんて。だから嬉しくて、さっきから笑顔が絶えない。エミリーはピンクの艶やかなリップを塗った唇で彼方君にお願いする。
「彼方君…しよ?」
「だ、駄目!」
「…は!?」





















え、ちょっと、はぁ!?
彼方君ううん、鮎川の奴この超甘い雰囲気を一瞬にしてぶち壊した!エミリーから顔を離して起き上がると外方を向くから…意味分かんない!エミリーも怒って起き上がる。
「はぁ!?お前何様だ!エミリーが好きになったってのに!」
「っ…、」
「何とか言ったらどうなの!」
「ま、またえみりーちゃんを泣かせるから…!」
「え?」
エミリーの顔は見れない鮎川が声を張り上げた一言に、エミリーは眉間に皺を寄せる。
何言ってんのコイツ?そう思っていたら、あの日の事を思い出した。
――ブラックデートの日の事…?――
「っ…だから俺は…」
「…カラオケの時の事言いたいの?」
「…!」
超挙動不審じゃん。ビクッてしたから図星だね。てかそれしかないけど。エミリーは呆れて溜息を吐く。
「はぁ。確かにあれはあり得なかったし」
「ごめっ…」
「…でもあれは今思えば気付きそうだっから怖かっただけかもしれない…」
「え…?」
――鮎川にエミリーの事を好きだ、って気付かせる為のブラックデートだったのに。逆にエミリーも鮎川の事好きだったんだ…って気付いちゃいそうだったのかもしれない。だから好きだから、こんな怖いの嫌だってエミリーの心の奥が危険信号出してたから、泣いちゃったのかもしれない――
「えみりーちゃん?」
「…エミリーもう泣かないもん」
「…でも俺は、」
背中に腕を絡めてまたエミリーからキス。熱っぽい2人の視線が絡む。
「エミリーもう絶対泣かないから。彼方君お願いしますっ…」
エミリーの事だけをずっとずーっと死ぬまで好きでいて下さい。…それはやっぱりまだ言えないけど。





























軋むベッドの音。響く甘美な声。床に散らかるチューハイの空き缶とエミリーと彼方君の服。
「っあ、彼方君すきっ…」
「…っえみりーちゃん痛くない?」
「ないっ…」
全然痛くないし。痛いわけないし。だって初めてエミリーの事を本気で好きな人に抱かれたんだもん。超優しくて嬉しくてエミリー思わずボロボロ泣き出しちゃったから咄嗟に両手で隠すけど、彼方君にはバレバレだった。目をギョッとさせた彼方君が心配そうに見てくる。
「どうした!?やっぱり痛、」
「痛くないっ!ないからっ!…あん!」
最悪!泣き顔を隠してた両手を一つにまとめられたし!ムカつくから外方を向く。まだ涙はボロボロ溢れるけど!
「見んな見んなっ!」
「でも泣いて…」
「彼方君の事好きになれて嬉しかっただけなの!ウザいからあんま見んな!」
エミリー泣き顔見られるのが一番嫌いなんだもん!怒鳴るエミリーを彼方君はしばらく呆然として見ていたけど、すぐにっこり優しいあの笑顔を向けてくれる。
「ありがとう」
駄目だ。エミリーもう駄目だ。彼方君の事言えない。エミリーも彼方君の事超好き。好き過ぎて駄目だし。
「っあ!彼方君の初めてはエミリーだからねっ!」
「ちゅーもえみりーちゃんが初めてだった」
「え?」
え?嘘だ。だってこの前入院してる時アン姉にちゅーされてたじゃん!
「え?っあ、嘘言うなっ」
「うそじゃないし」
「んっ…いつ?っ、」
「…おしえないっ」
「はぁ!?ムカつく!んっ!だめ、ばか!」
いつ?いつちゅーした?今したのが初めてじゃん!思い出そうと考えるけど、考えようとするけど気持ち良くて考えらんないからムカつく!
「あ、ぁんっ彼方君ゴムしたよね?」
「…うん」
「彼方くんっ、ちゅーしてっ」
お願いすればすぐしてくれる。深いのにとびきり優しいキス。やっと見付けた。エミリーを一番大切にしてくれる人。
彼方君の広い背中に腕を絡めてぐっ、って引き寄せれば近付く顔。お互いの熱い呼吸。
――どうせ明日からまたエミリーは、素面に戻った彼方君に好きって言えなくなる。だから今晩だけは…――
「彼方くんっ…」
「…ん?」
「だいすき」
彼方君は顔を真っ赤にして恥ずかしそうにエミリーから目を反らすけど、すぐに見つめてくる。すごく真剣な瞳で。
「っあ!彼方君エミリーもうっ、無理っ…」
「…エミリー」
あれ?エミリー?さっきまで"えみりーちゃん"だったような?どっちでもいーや。
「んっ?」
「愛してる」










































朝―――――

チュンチュン、
小鳥の鳴き声がする。窓の向こうカーテン越しに射し込んでくる太陽の陽射しが眩しい。室内に充満するお酒のキツい匂い。…でもエミリーはまだ起きない。目をあけない。
二日酔いは無いから頭痛は無い。けど、腰が超痛い。慣れてんのに。身体中汗ばんでいて気持ち悪いから今すぐお風呂に浸かりたいけど、目をあけない。…てか、あけられない。気だるい。
――眠い…――
結局夜中2時半頃まで抱かれて、その後3時頃までベッドの中で一緒にお話してそれから…寝たのかな。だってお風呂入った記憶が無いし。
つーか、また泣かせるからとか言っておきながら2時半頃までヤりやがったし!最近腰なんて痛くなる事なかったのに!ムカムカしていた時ハッ!と思い出す。
――ハッ!早く片付けなくちゃじゃん!――
だって鮎川は昨日てか今朝?酔ってたから絶対覚えてないから…って事でエミリーは告っちゃって、その上えっちまでしちゃったんだけど!
けど服は散乱、ティッシュもタオルも散乱、一番最悪なのはエミリーも鮎川も何も着てないってのがヤバイヤバイヤバ過ぎるし!!いくら鮎川が酔っていて昨晩の事を覚えていないとしても、こんなんじゃ昨晩何をしてたのか一目瞭然じゃん!!鮎川はトランクスだけ穿いてるけど…ってそれでもヤバイし!
眠気で重たい瞼もぱちっ!と開けて飛び起きたエミリーはタオルで汗を拭いてから…とりあえず、昨日脱いで床に散らかしてた制服に着替え始める!急いでいるからなかなかうまく着れなくて余計イライラする!
「あーっもうっ!てか鮎川は?鮎川に制服着せれば良いの?そんな事したら起きちゃうじゃん!じゃあエミリーは着替えたらさっさと家出ていけば良いよね?そうだよね!」
1人でテンパって自分で自分に言い聞かせるし!あとはスカート穿けば完了!
「よしっ!これで家出れば、いんぺーこうさく?だっけ?完ぺ、」
「…おはようエミリー」
「!!」

























お、お、お…おはよう?エミリー…?


ドクン、ドクン

心臓が低く大きな音でゆっくりゆっくり鳴り出す。後ろから聞こえた低い声にエミリーは冷や汗をかく。スカートを穿いてからゆっくりゆっくり…恐る恐る後ろを振り向く…。
「…おはよ」
「お…おはよう…鮎川」
………。苦笑いしか浮かべらんない。冷や汗がひっきりなしにダラダラ流れる。体温が急上昇する。だって後ろには、ベッドに横になった…ままだけど、毛布をかぶった…ままだけど、エミリーからは目を反らして顔を真っ赤にしてる鮎川が…起きてた。
そうやって恥ずかしそうに目を反らされたらエミリーの頭の中がパニックになるし!!こ、ここは鮎川のせいにするしかないっ!!エミリーは鮎川を指差すの!
「お、お前が昨日エミリーの事を襲ったんだからなっ!マ、マジあり得なかったし!何で何でエミリーが…!あっ!でも最後までしてないし!ちゅーもしてないからっ!調子乗んなよっ!」


しん…

…あれ?しーん?ななな何でしーんとしちゃったの!?何で鮎川は、エミリーから目を反らしたままなの!!
「あ、謝ってよっ!」
「……」
「あああ、謝れーっ!!」
「…その…エミリーあのさ」
「な、何っ!」
び、びっくり…!
鮎川の奴むくっ、と起きてベッドの上に胡坐をかく。相変わらずエミリーから目を反らしてボサボサの寝癖がキモい髪を掻きながら…顔を真っ赤にすんなっ!
「えーと…あのー…」
「い、言いたい事あるなら言えばっ!?」


ドキドキドキドキ!

ねぇ、覚えてなんかいないよね?いないよね?いないでよね!?
鮎川が顔を真っ赤にしながらも真剣な緑色の瞳でエミリーの事見てきたから不覚にもエミリーね、ビクッ!としてしまった…。
「じゅ、順番が違うと思うんだけど…」
――コイツ覚えてた!!――























カアァァッ、って全身が焼けそうになる!同時にエミリーは、床に置いてあったクリーム色のクッションを鮎川の顔目がけて思い切り投げてやったし!!
「〜〜っ!死ねっ!!」


ドスッ!

「ゴフッ!」
もー!やだやだやだやだやだ!死ね!鮎川なんて死んじゃえ!!恥ずかしい恥ずかしいやだ!!
ご乱心のエミリーはクッションを次々と鮎川に投げるけど、鮎川のくせに避けるから余計ムカつくー!
「やだやだやだ!!」
「エミリー!」
うぅ…最悪。ぐっ、って鮎川にベッドに押し倒されたし。反撃したいのにできないし。顔を真っ赤にしてボロボロ涙流しちゃうし。
「うぅ…何で覚えてんの馬鹿っ…覚えてても覚えてない振りしろっ…」
「え!あ…ご、ごめん…」
「遅いんだよっ馬鹿!」
もうやだ。駄目だ。こんなのエミリーじゃない。しゃっくり混じりで泣くエミリーにキスしてくる鮎川。
「んぅ…」
「…エミリー。俺もその…あまりにも突然で正直何が何だかって感じなんだけど…その…あの…」
「そのとかあのが長いんだよお前はっ!」
「っ、ごめん…」
ぷいっ、て外方を向く。
窓の向こうから楽しそうに話ながら通学する小学生の声が聞こえてくる。目だけを動かして部屋の中にある壁掛け時計を見たらもう、朝の8時33分。
「…今から行っても遅刻」
「え?」
「…1時間目出たって途中からじゃ欠席扱いだし」
「あー…そうだな」
鮎川も時計を見て時刻を確認する。と、自然とエミリーと鮎川は笑い出してた。何でか分かんないけど!
「ぷっ、キャハハ!どーせ遅刻!どーせ順番間違えた!…だから鮎川」
エミリーがキスしておねだりすれば、鮎川は恥ずかしそうにしながらもエミリーの上に覆い被さる。せっかくさっき着たばかりのワイシャツを上まで捲られて胸を触る鮎川の背中に腕を絡めながらエミリーはニヤリと笑むの。
「んっ…明日から順番通りにしよ?」
「…てかエミリー。その前に俺と付き合ってくれるの?」
鮎川の馬鹿みたいな質問に、エミリーはぱちぱち瞬きをしてからケラケラ笑うし!
「キャハハ!何それ!」
「なっ…?!だってそうだろ!順番がどうとかの前に付き合うかどうかで…」
「じゃあ鮎川から告ってよ」
「えっ…」
ふふ。エミリーが唇をニヤリとさせて小悪魔な笑みを浮かべる。鮎川の奴オロオロしちゃってさーウケる!
「早くーっエミリー我慢できないんだけどー」
「っ…その…やっぱ後で!!」
「はぁ!?ちょっと馬鹿!鮎川!!」
顔を真っ赤にして何言い出すか楽しみにしてたってのに"やっぱ後で!"って何その返事!?しかもそのままえっちに入るし駄目だコイツっ!
「っ!後で、って…あ!いつ!!」
「い、いつでしょうか…」
「はぁ!?さっさとしろ!だからキモいって言われんじゃん!」
「なっ…!関係無いだろ!ムカつく!」
「っあ、馬鹿馬鹿馬鹿鮎川!!1人で興奮してんな馬鹿!エミリー腰痛いんだから優しくしてよ馬鹿!!」
そんな時だった。


ガチャッ、

「ただいま!彼方く…ん…?」
「!!」
ちょ、まっ…えぇ!?
勢い良く開かれた部屋の扉。其処には50代と60代のおじさんとおばさんが居て、エミリー達もおじさん達も呆然。沈黙。


バタン!

慌てておばさんが扉を閉めたけど…え、何!誰!?パニック状態で超恥ずかしいエミリーが鮎川に聞くし!
「え?は!?何!?鮎川誰あの人達!何!」
「お、おじさんとおばさん来月帰って来るって言ってたのに…」
「ちょっと鮎川お前聞いてんのかっ!誰あの人達!」
やっと聞こえたの?冷や汗ダラダラ流して真っ青な顔をした鮎川が答えた。
「各自で単身赴任してたんだ…」
「だから誰!?」
「俺を養子にしてくれた…おじさんとおばさん…だから所謂、俺の育ての親…」
「…最悪!!」
































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