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「晶さん」

「なに?」

高槻の合い鍵窃盗事件から数日が経った夜。

夏希ちゃんは物思いに耽った顔で呼び掛けてきた。
お笑い番組を見て笑っていたあたしはそのままの表情で夏希ちゃんを振り向く。

「すげー笑顔だね…」

「………」

その笑顔のあたしとは真逆に夏希ちゃんは真剣な面持ちであたしを見つめる。

「どした?」

「うん…高槻から何か連絡ある?」

あたしは首を横に振った。
たぶん、突然現れたのは電話番号を換えたせいなのだろう……。

高槻が提示した約束は3年後だ。
アイツはそれまでは当たり障りなく接してくるのだと思った──

高槻は長期戦に持ち込むつもりだ。

「出てもいいから…」

「……?」

「アイツから連絡来ても出ていいよ」

夏希ちゃんは真っ直ぐテレビを向きながらそう口にする。

「俺、思った」

「………」

「アイツとは真っ向から勝負する!コソコソしたやり方で情けないって思われるほうが癪だ!」

「………」

「……連絡取り合ってても晶さん信じるから」

「……うん」

「マジで信じるから」

「うん…」

「頑張って信じるからっ」

「しつこいよ」

まるで自己暗示を掛けるように、夏希ちゃんは何度も“信じる”と呟いていた。


念の為、付け替えて貰ったマンションのドアの鍵。もちろん払いは夏希ちゃん。

新しい鍵をキーホルダーに付けて、二匹のマウスはまた夏希ちゃんの元でハートを作って両手を繋いでいる。

テレビを向いて今だ何やら考えている様子の夏希ちゃんにあたしは不意に顔を寄せた。

「──…っ」

ほっぺに当たった感触に夏希ちゃんは目を見開く。

「どしたのいきなり?」

キスをしてきたあたしに夏希ちゃんはビックリしながらそう呟いた。

「ちょっとムラッときた」

「………」


「今から犯します」

「えっ!?」

レイプって癖になる。
夏希ちゃんの慌てる顔はちょっと興奮するわけで、煌々と明かりが灯る蛍光灯の真下。

あたしは絨毯に直に胡座をかいていた夏希ちゃんに跨がり衣服を剥ぎ取った。

襲うのに慣れていた夏希ちゃん。襲われることには非常に戸惑いを隠せないようで、少し怯えた表情に萌えてしまう。

「あ、晶さんっ…後にしない?テレビあるしっ」

「レイプするのに後も先もないわいっ!」

「あれっ…言葉乱暴だねっ?」

「ヒイヒィ言わせちゃるっ!」

「ちょっ…!?…あっ…口で抜いたらダメだってっ…」

「勃たせるだけ」

「ちょっ…っ!」

ラフな部屋着は脱がせ易い。ゴムのウエストをサッと膝まで下ろして露になった夏希ちゃんの半勃ちのものをあたしは口に頬張った。


あっさり抵抗の手を止めた夏希ちゃんは観念してその場で色っぽく仰け反っている。

「嗚呼っ…」

掠れた声で夏希ちゃんが鳴く──

「やばい…っ」

いつもの“やばい”が囁かれていた。


あたしに押さえられた両手は互いに握り締め合う。苦しそうにしかめながら上気する頬。

夏希ちゃんの喘ぐ姿にあたしも少し濡れてきた。

「晶さ、ん…っ」

夏希ちゃんは仰向けに仰いでいた頭を起こし、顔を上下にゆっくり動かすあたしを見つめる。

「舐めたい…」

「……ん…」

「俺も晶さんの舐めたいっ…」

吐息を漏らしながら切ない表情で顔を歪めて懇願してくる。

「こっちきて…」

いつからこんな大胆になったんだろう……

夏希ちゃんとセックスするようになってからのあたしはほんとに積極的になってしまった…

まるで錆び付いた四年間を取り戻しているかのようだ。

あたしは夏希ちゃんの猛りを手で擦りながら夏希ちゃんの顔を跨いだ。

「ああっ…」

途端にショートパンツの布地を横に引き、露になったそこに夏希ちゃんは貪るようにして舌を這わせる。

「すごい濡れてるっ」

「ああっ…っ…」

興奮しながら夏希ちゃんは思いきり強く吸い付いてきた。



お互いを唇で愛撫し合う音が部屋中に響く。
時おり聞こえるTVのお笑いの笑い声も今の二人の耳には届かない。

荒い息

濡れた水音

たまに囁かれるくぐもった愛の言葉──


「晶さんっ…すげー好きっ…」

夏希ちゃんは顔を埋めながら狂ったように囁き舌を這わせる。

「ああっ…晶さっ…んなしたら射くっ…」

貪る動きを止めて、夏希ちゃんは一瞬込み上げてきた快楽を抑え込むようにして堪えた。

「もう挿れたいっ…」

泣きそうな声で懇願してくる。

「晶さんの膣(なか)に挿れたいっ…」

強い溜め息を繰り返しながら言う夏希ちゃんの猛りからあたしは口を放した。

射きかけた猛りがピクピクと脈を打つ。

「ゴム取ってくる」

「俺、このまま放置?」

「うん、放置プレイ」

プッと笑うと辛そうな赤い顔の夏希ちゃんに軽く口付けてあたしはすぐに避妊具を手にした。



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あきゅろす。
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