4P
売られた喧嘩、もとい 試合は何が何でも勝利してきた──
ある意味ファイターなヤツだ……。
ナイフとフォークで上品に貪るインテリな肉食系の夏希ちゃんと違って
高槻は見たまんま
豪快に隣のヤツの肉を奪い食いちぎっていくような捕食型肉食系──
「うそ──っ待って高槻…っ…ああっ…」
あ
やだっ強引なのに昔と違ってテクがあるっ…
力強いのに急所は優しく触れてくる。そんな高槻の愛撫に躰が翻弄されてしまう。
さっきの水のお陰で急激に醒めていく酒の酔い。
お酒のせいだなんて言い訳もできない──
「あっ夏希ちゃんごめんっ!」
高槻に襲われながら夏希ちゃんに大声で謝る…
「うるさい晶っ…俺とヤってる時に他の男の名前を呼ぶなっ」
「あんたが勝手に犯してるんじゃんっ」
「犯してるとかいうなよ…」
「あっ…っ…」
なんだか哀しそうな声で言うと途端に優しい愛撫が躰中を這う──
・
夏希ちゃんが付けたマーキングの上に重ね付けするように舌と唇が滑り熱い息が吹き掛かる。
「あきらっ…」
「ああっ…高槻…やめっ…」
色んな動きが手慣れてる。いつの間に着けたのか、高槻の猛りはゴムの帽子を装着している。
大学で相当遊び捲ったのが目に見えてわかる。
あたしと別れて寂しかった──
寂しかったからヤりまくったのか…?
なんじゃそりゃ?
「あ──…っ…やばいっ…俺、やっぱお前のことすげー好きだわっ…」
こと切れたように突然高槻はあたしを抱き締めた。
「晶っ…」
「やっ…あ…待って高槻っ…ヤるならゆっくりっ…」
そう…
どうせヤるならゆっくりしてくれ…っ
不馴れな頃の高槻のセックスしか知らないあたしは挿入(はい)ってきそうな高槻の猛りに一瞬身を硬くした──
力任せの激しい突きに痛い思いしかしたことのない高槻のセックス…。
ググっと押し付けられて、緊張感があたしを包む──
あたしはその途端に声をあげた。
「あああっ…や、だっ…──きもちいっ…」
そう、
痛いと思ったのにすごく気持ち良かった……。
・
「…っきもちいいか?晶…っ…」
しがみつくあたしを抱き締めて高槻は息を切らしながら腰を揺らす。
あたしは途切れ途切れに声を漏らしながら喘いだ。
「はあ…あっ…あっ…っ」
ああっ…
夏希ちゃんごめんなさっ…
罪悪感が拭えない。
信用して、なんて言ってこのザマだ──
ああもう、捨てられてもしょうがないっ──
てかもう捨てちゃって──
懺悔の言葉が浮かばない。
見捨てられた方が楽だなんて短絡的な思考に流される。
「ああ…っ…高、槻っ…それだめっ」
「ダメじゃない。もっと感じろよ…」
「あああんっ…ぃやあっ…」
甘い喘ぎが漏れて強い痺れが押し寄せる。
仰向けで抱き合う躰──
高槻は上半身を起こして腰を揺らしながら丸見えになったあたしの粒を親指で刺激しはじめた。
「はあぁっ…ゃばいぃ…それダメっ…」
「はあっ、締まるっ…晶っ…俺もヤバそうっ…」
高槻はそう言うと無我夢中で腰の律動を早めた。
一定のリズムがあたしの躰を揺り動かす。
もう夏希ちゃんへの詫び言葉も飛んで朦朧としてくる。
「あきらっ……あきらっ…やばっイク………ああっ──!っ…」
高槻は男らしいうめき声をあげて大きな躰を奮わせる。
唾を飲む音──
唇を重ねながら深く突いた位置で高槻は猛りを大きく痙攣させる。
治まった疼きに溜め息を吐くと高槻はあたしの首筋に顔を埋めた──
「晶…──三年経ったら連れて帰るから…俺、絶対、諦めない」
「……もう…好きにして…」
あたしは高槻の重みを感じながら途方に暮れた……。
・
「……水…」
まるで砂漠に埋もれた民のように小さく呟いた…
閉め切った窓から微かに光りが射し込む。
うつ伏せの躰にまとわりつくように抱き付いている大きな腕──
背中から抱き込むようにして眠っている高槻の腕をほどくとあたしはラブホテルの冷蔵庫を漁った。
どうせ高槻の払いだ。
そう思いながらミネラルとスポーツドリンクを取って二本を豪快にがぶ飲みする。
「ゲプっ…」
無意識な空気の塊が胃から追い出された──
「ぷっ…お前サイテー…女じゃねー…」
目を覚ましていたらしい高槻が笑いながら伸びをして目を擦る。
「俺にもくれ」
シーツに潜り込みながらそう言った高槻にあたしはショコララテなるジュースを渡した。
「寝起きにこれはキツいだろ?」
「文句言うなら自分で取れ」
「冷たいやつだな」
なんとなく拗ねた口調で言うと高槻は自分で冷蔵庫を開けた。
あたしはベットに座り込む。
あれだけ飲んだのに二日酔いしない自分にカンドーする。
・
水分を充分に蓄えたあたしは素っ裸で取り合えずボーッとした。
夏希ちゃんになんて言おう──
てか…
言うべきなんだろうか──
「………」
隠し通すのが妥当だよね?
わざわざ言っても傷つけるだけだ──
「うげ!?コーンポタージュとしるこしかないっ…相変わらずなセンスしてんなここはっ?──」
ここは高校の時に二人で使ってたお馴染みのラブホだ。
冷蔵庫のストック飲料が嫌がらせかと笑えるってのが話題の懐かしいラブホテル…
高槻は傍にきてあたしの飲み残しのスポーツドリンクを飲み干した。
「何考えてんだ?」
ベットに腰掛けて黙ったままのあたしを覗き込む。
まだ、大学でバスケをしているのだろうか?目の前の高槻の体はガッチリと鍛えられた肉体美だ──
「エッチ」
「バカじゃない?」
躰をくねらせて庇う高槻に一言言うとあたしはそのままベットに横にパタリと倒れた。
高槻はそのまま上に乗ってくる。
若いなりの朝の猛りだろうか──
横になったあたしの背中に密着すると硬くなった異物をお尻に擦り付けながら高槻は背中にキスをした。
・
「しかし、すごいよなこのキスマーク…」
改めて眺めながらそう呟く。
前も後ろも夏希ちゃんのマーキングだらけ…
「今日帰るんだろお前…」
「うん」
背中に舌を這わせる高槻に一言だけ返す。
途端に背中に軽く何度も押し充ててられていた高槻の唇が急に強く吸い付いてきた──
「ちょっ──…バカッやめてよ!?」
痕を付けられまいとあたしはもがいた。
強い力に押さえ点けられて肩が外れそうだ──
「は──…付いた…」
唇を離した高槻は満足そうな言葉を漏らした。
「背中の真ん中ってキスマーク付き難いからな…結構、口痛いわ…」
「じゃあ付けないでよっ!」
怒るあたしを無視して高槻は同じ場所に唇を押し充てる。
「こんだけあちこちに付けてあるから一個増えたってバレないって…」
悠長に言ってのける。
高槻は背中を向けたあたしを仰向けにすると再び覆い被さってきた。
朝の猛りは太陽の位置を指すように上をしっかりと向いている──
「晶……」
名前を囁きながら両足を抱えると高槻は顔を下にずらした──
「うわっ…お前血がっ…!」
「──!?」
言われて顔をあげた──
高槻が覗き込んだそこを見ると確かに血が滲んでる──
シーツを捲れば薄い血痕が所々微かに付着していた。
・
「始まっちゃった…」
「生理か?」
「うん」
「おどけた…また処女奪ったかと思った…」
「アホか」
なんだ──
始まっちゃった…
夏希ちゃんとの赤ちゃんデキナカッタ・・・
もともと安全日に近かったしな──
夏希ちゃんに激しく抱かれながら二回も中出しされたけど…
妊娠はしなかった…
ちょっと
ホッとして
寂しい感じがする
“好きなんて言わなくていいから結婚してっ…”
中に出してしまったことを詫びるように言った夏希ちゃんのプロポーズ。
これであの言葉がチャラになったような気がして……
あたしはなんだかとても寂しくなった…。
「晶…」
「……」
「風呂でヤる?」
あたしは高槻を思いきりドツいた。
無言で風呂に向かって鍵を閉めるとシャワーを捻る。
取り合えず躰を洗おう…
それから考える……
夏希ちゃんのことも、高槻のプロポーズも……
「──……」
・・・多恵ちゃんに相談しよう──
厳しいけど一番的確な言葉をくれる多恵ちゃんに…
あたしでは答えが出せない。
強引な高槻ではあるけれど男らしいのは皆が認めてる。
自分の将来を考えると先の見えない夏希ちゃんとの付き合いと…
先を語った高槻──
一目瞭然なのかも知れない──
でも、あたし一人の考えでは踏み切れない…。
ただ──
多恵ちゃんに相談する時点でどんな答えが返ってくるかはとっくにわかっているのだけど──。
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