Vinca major 【西浦】 1 試合が、始まった。 「それじゃ、行ってくるね。」 「うん!がんばって」 ちよちゃんはアナウンスをしに行ったから、 私はカントクの近くに座る。 一回は、試合としては動きがなかった。 でも、阿部くんのリードは、いままで見た中でも別格な気がする。 「阿部くん、すごい…」 思わずそんな風に声が出た。 『四番、サード、田島くん』 ちよちゃんの声が悠一郎を呼んで。 さっきいった、今日も打つ、が頭の中を反響する。 「フォーク!」 叶君の決め球のフォーク それをしっかり悠一郎がとらえた。 「「せーの、ナイバッチー」」 みんなの声が贈られる。 …ほんとに、初打席から打った! [戻る] |