Main 11 サク爺は、リビングに入ると。まず、ロシナンテが起き上がれている事実に驚いた。あれだけの大ケガを負って、意識が戻ればもはや奇跡。傷口を手当てして点滴をしただけで、輸血など何もしてはいないのだから。 血まみれの包帯をほどき、傷口を確認していく。すると、またも驚いたことに。傷口はふさがっていたのだ。まるで何年も経過し、すでに傷痕になっているようでもあった。 その事実を、サク爺が正確に伝えると。やはり本人も驚いたようで。ただ一人、リオだけは『治ってよかったですね!』とのんきに言うものだから。サク爺がデコピン1つお見舞いした。 『痛いよサク爺!早く治って良いにこしたことないじゃないっ』 「あれだけの大ケガが半日やそこらで治ってたまるか!」 『でも治ってるじゃない。ね、シャワー浴びてもらっても平気かな?お風呂は?』 「念のために体を拭くだけにしておけ。明日なら入っても構わん。……あと、服を持ってきたからの」 治療道具が入っているとは思えない、紙袋を持ってきていると思ったら。なんと、ロシナンテが着れそうな服を持ってきたと言ったのだ。 取り出してみると。確かにサイズは合いそうで、こんな服をどこで調達してきたのか尋ねると。去年、サク爺の患者に相撲取りがいて。その時に置き忘れた服らしい。 しかも、その相撲取りは引退して今はダイエットに成功し。もう着られないから、処分してほしいと頼まれていたらしい。ちょうどよかった。 「何から何まで、ありがとうございます」 『サク爺ありがとう!』 「真っ裸の男とリオを、二人きりにさせておけんかっただけじゃわい!」 『包帯巻いてたから、まるっきり裸だった訳じゃないよ?』 「服を着とらんのは同じじゃろうが!」 『治療する為だったんだから、仕方ないでしょう!?』 「その……あまり裸と連呼しないでもらいたいんだが」 『あっ、ごめんなさい!』 リオは気まずそうに謝り。サク爺は、治療道具を持ってさっさとリビングを出ていこうとする。するとそれを、ロシナンテが呼び止めた。 「なんじゃ」 [*前へ][次へ#] [戻る] |