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『にゃ〜(聞いてない〜)』
「ピヨ(あのおっちゃん、面倒なヤツと会うしか言ってねーぞ?)」
『にゃう(わかってる。わかってるけど、心の準備が・・・!!)』
「ピヨ?(あいつと知り合いなのか?)」
『にゃ・・・(知り合いどころか・・・)』

 チラッと、アイスバーグ越しに相手の顔を見つめる。今リオは猫になっているので、特に見つめても問題ないと思っての行動だが。 それでも、見るだけでドキドキする。なにせ久々の再会だ。
どうしてこんなところに?とリオは疑問に思ったが。海軍本部から近いのだし、原作でも自転車でウォーターセブンにやって来ていた。 海軍大将、青雉クザン。またこんなところで会うなんて。正直、会いたくないという気持ちが強かったリオは。アイスバーグから離れられずにいた。

「…んで、もののついでで来た訳だ」
「この娘を極秘に…?」
「ああ。どこにいるかもわからんが、捜しださんにゃならん子なんよ」
「ンマー、確かに仕事柄色んなところに伝はありますが。こんな子供が一体何をしたんです?」
「…何もしちゃいねェよ」

 アイスバーグがマジマジと見る紙を、リオも肩の上から見てみる。…紙に書かれているのは、少女の絵姿だった。よーく見なれた顔の絵に、リオは気絶しそうになる。

「ピヨ!(リオねーちゃんだ!)」
『にゃ…(なぜ…なぜに私の絵姿を…しかも捜してるって何!?)』
「ところで、その猫とヒヨコはなんだ?」

 いつものやる気のない表情のまま、クザンはリオたちを指さした。あまりの気まずさにアイスバーグの肩から降りて、ソファーの後ろに隠れてしまう。ヒヨ丸もそれに続いてソファーの後ろに行ったところで。アイスバーグが口を開いた。

「可愛いでしょう?」
「あ?…まぁ、確かに?」
「緊迫した空気を和らげてくれる逸材ですよ」
「おいおい、俺との会話がそんなに緊迫することか?」
「少なくとも、油断は出来ない相手で間違いはない」

 ソファーの裏で、なにやら冷気のようなものを感じとったリオは。人知れず毛を逆立てていた。 冷気と言っても、クザンが放つ本物の冷気なんかではなく。あれだ、二人の牽制が冷たい覇気のようなものになって放たれているような。
 リオ自身よくわかっていないが。とにかく、一癖も二癖もある男たちから放たれるそれにリオはすっかり参ってしまった。

『にゃ〜(帰りたい…)』
「ピヨ〜(居心地悪い!早く終わらねーかな?)」

 ソファーの裏でにゃーにゃーピヨピヨ鳴く動物たちに、人間二人は黙ってその様子を覗いていた。視線を感じたリオは、ゆっくりと後退り。その視線から逃れようとしたが。いつの間にか後ろに回り込まれ、捕獲されてしまった。クザンに。

「おっ、メスか」
『にー!?(ちょっ、猫にまでセクハラを!?)』

 体をグネグネくねらせ、逃亡を試みるも相手は猛者で知られる大将青雉。逃げること叶わず力尽き、力なくだらんと体の力を抜いた。

「その子は預かってるだけなんで、お手柔らかにお願いしますよ」
「こんな小動物どうにかするわけないだろ」
『に…(でもセクハラはした…)』
「なんかジト目で見てね?」
「ンマー、離してほしいんじゃないですか?」

 アイスバーグから助言を受けて、クザンが手の力を少し緩めると。すぐさま逃亡し、今度はアイスバーグの肩の上に落ちついた。どうにもセクハラが絶えないクザンは苦手だ、そんなことを考えながらゴロゴロと喉を鳴らすリオだった。


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