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『にゃ〜(しまった、まさかまさかのラスボス登場とは・・・)』
無表情でリオを見下ろすルッチに、すっかり縮こまってしまった。悲しげに鳴いてみせるものの、いつまでたっても首根っこから手を離してはくれない。 今度は恐る恐るルッチの顔を見てみると、やはり無表情のまま視線をリオに寄越すだけだった。
『にゃ〜・・・(あの〜・・・助けてくださったのはありがたいのですが、そろそろ降ろしてはいただけないでしょうか?)』
「・・・・・・」
『にゃ(え、あの・・・降ろしていただけるだけでよいのですが)』
恐ろしいことではあるのだが、グネグネと身をくねらせ逃亡を図るのだが。今度は腕に抱え直され、ますます逃げることは困難になってしまう。 相変わらずの無表情で、何を考えているのかサッパリだったが。今すぐどうこうという感じではないので、とりあえず大人しくしておくことにした。
「ンマー、お前らなんの騒ぎだ」
「アイスバークさん!」
ガレーラカンパニーの社長!ウォーターセブンの市長!ボス!のご登場だ。美人秘書(足癖悪い)付き。 なんということでしょう。勢揃いしてしまった。会う気はまったくなかったというのに出会ってしまった!! やはり浅からぬご縁、というより因縁を感じる。よくわからないが。是が非でも会わなければならない!という引力が働いている気がしてならないリオなのだった。
『にゃ〜(早く家に帰りたい)』
「ん?なんだ、猫じゃないか。どうしたんだ?」
「《クルッポー、カクとパウリーのやつがこの猫を巡って争っていたんです》」
「おいルッチ!人聞きの悪ィこと言うな!!その猫に勝手に執着してンのはカクの野郎だけだっての!」
「可愛いものを愛でて何が悪いんじゃ!?」
「だから嫌がってるのにしつこくしてやんなって言ってんだよ!!」
またカオスになりつつあった。リオがこの場から去れば収拾するだろうに、ルッチは未だ腕から降ろす気が感じられない。鳴いても飛び降りようとしても無視。どうにもこうにもならない。 試しにアイスバークに視線を向けてみれば。やはり出来る男、リオの意思をくみ取ってくれたのかルッチに猫を降ろしてやれと指示を出す。
これでようやく降りられると待っていたのだがーーーーいつまでたっても降ろす気配がない。 もう一度ルッチの顔を伺えば・・・無表情のままだが。なぜかリオを抱える腕に、さらに力が込められたような気がした。
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