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 ヒヨ丸の元へ戻ろうとしたら、いつの間にかヤガラから降りていてリオの方へ歩いてきた。 すると、背後から近づいてきたカクが。リオとヒヨ丸を一緒に抱き抱えた。

「ふわふわな生き物は癒されるの〜!目付きは鋭くなく、さわり心地も良くて暴れなくて噛まなくて引っかかなくて!!」
『にゃ?(誰かと比べてません?)』
「鳴き声も愛らしいとは、言うことないわい」

 無理矢理リオたちに頬擦りしてくるので、低い声で唸っていれば。いきなり頬擦りから解放され、気づけばパウリーの腕の中にいた。

「いい加減にしろよ!嫌がってんだろうがっ」
『にゃう!(そうです!なんかイメージ崩れるから嫌です)』
「ワシの癒しを返さんか!」
「だから嫌がってるっつーの!それにほら、仕事が始まらねーだろ」
「わかっとるわい!だから最後にモフらせんか!!」
「嫌がってんのを渡せるか!!!」

 あーだこーだと言い争いが次第に大きくなり、なんだなんだと1番ドックから人が大勢様子を見に来る。 パウリーの腕から降り、ヒヨ丸と一緒に離れた場所で二人の争いが収まるのを待つ。 理由がどうであれ、原因は自分にあったので収束するまでは待っていようと思ったのだ。
 しかし、今日は天気も良くポカポカと暖かい陽気がリオの体に降り注ぐ。座っているのが億劫になったリオは、その場に丸くなった。 温かいリオの体に引き寄せられるように、ヒヨ丸も体をくっ付け目を閉じる。
二匹が本格的に眠りそうになっていれば、先ほどまで騒がしかった外野が静かになっているのに気がついた。 恐る恐る、リオが目を開けると。そこには、言葉を何一つ発せずリオたちを凝視していたガレーラカンパニー御一行様がいた。
 驚きのあまり、毛を逆立て後ろに後ずさる。見ていた全員が慌てて止まれと言ってきたが、どうにも興奮が収まらないので。そのまま後ろに下がってしまうのだが。 あと一歩で水路に落ちてしまうが、周りが見えていないリオは後ろに下がり続ける。 全員が大声で叫び、落ちるのを止められないーーーーそう思ったが。ふいに、リオの体が宙に浮いた。

「!?ルッチ!!」
『にゃっ?!(嘘?!)』

 リオの首根っこを掴んで助けてくれたのは、肩に鳩を乗せ黒いシルクハットがよく似合う無愛想なあの人。ロブ・ルッチだった。


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あきゅろす。
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