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 水の都、ウォーターセブン。数多くの船大工がいて、不思議な生き物ヤガラブルがいて。そのヤガラブルが町中を移動できる水路がある、そんな場所。 『今』は、いつだろう?まだ扉もくぐっていない状態で、リオはそんなことを考えていた。 海列車があるかないか、ガレーラカンパニーがあるかないか。・・・あの人たちがいるかいないかで、色々と変わってくる。 海列車が完成していてガレーラカンパニーもあって、麦わらの一味がまだ来ていない時。その時がある意味一番、気をつけなければいけない時だ。 正体を隠して潜入しているあの人たちに、もし遭遇したりした場合。平静を保てる自信がリオにはない。 それなら行かなければいい話なのだが。さっきから、どこか目を爛々と輝かせリオを扉の向こうへ促しているヒヨ丸がいた。 こうも人間くさいヒヨコが他にいるだろうか?いや、いない。なんとも毒気を抜かれるが、リオもヒヨ丸同様。好奇心を抑えきれないのもまた事実。 リオは意を決して、ヒヨ丸と共に扉をくぐったーーーーーーが!

『にゃー!?(なんでー!?)』

 猫のリオ、再び見参☆フサフサのなめらかな毛並みに、つぶらな瞳。プニプニの肉球。 腰に付けていたポーチはそのままに、リオは猫の姿に戻っていた。しかも、また人間の言葉が話せなくなっている。 これはマズイ。すぐに部屋に帰らねば、そう思って扉をくぐろうとしたのだが。ヒヨ丸がテトテト歩きだしたので。リオは猫の姿のまま、慌てて後を追った。

『にゃう!(ヒヨ丸ちゃん!勝手に行ったらダメでしょうっ)』
「ピヨ!(でもリオねーちゃん、すっげー楽しそうな町なんだぜ?俺、早く見てみてーよ!)」
『にゃ!?(ヒヨ丸ちゃんの言葉がわかっ・・・!?)』
「ピーヨ(だって今は同じ獣同士だろ?)」
『にゃー(それはそうだけど・・・)』

 混乱が隠せず項垂れていると。低くなったリオの体の上に、ヒヨ丸が素早く乗り込み。まるでブレーメンの音楽隊のようになった。 ヒヨ丸がどうしてもとせがむので、少しだけ町の中を歩いてみることにする。
よくよく辺りを見渡せば、どうやらここは商店街のようだ。 ヤガラで行き交う人々や、店の人々の様子は活気に満ちあふれていて。なるほど確かに、ヒヨ丸の言った通り楽しそうな町だ。 店を見て回りたいが、道は途切れ途切れで歩けない。かといって、猫やヒヨコがヤガラを借りることは出来ないし。どうしたものか。
 色々考えていると、リオたちの側に無人のヤガラが寄ってきた。いきなり顔が近づいてきたので、毛を逆立て驚いたが。ニー、と人懐こい鳴き声で笑われたので。にゃーと鳴き返した。

「ニー(お嬢ちゃん、こんなところでどうした?)」
『にゃー(色々お店を見て回りたいなと思ったんですけど、猫の身では移動出来ないなって思いまして)』
「ニー(なんだ、なら俺の背に乗りな!運んでやるよ)」
『にゃ?!(え?!でも・・・)』
「ニー(何、今人を運び終わって帰ってる途中なんだが・・・時間が余ってるんでな。暇だから、ついでに乗っけてやろうってことよ)」

 背を向けられ、後ろに乗れと促される。せっかくの機会、利用させてもらおうと。リオとヒヨ丸は、粋なヤガラの背に乗った。


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あきゅろす。
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