[携帯モード] [URL送信]

Main


 あれからサク爺は、薬を置いて家に帰っていった。帰る際に、ヒヨ丸の食事や小屋のことも手配してやると言ってくれるのだから。やはりサク爺は優しい。
 早めに元気になってしまったので、お腹が空いたリオは朝ごはんを作ることにする。久しぶりの自炊だ。 ヒヨ丸のご飯は、菜っ葉などを細かく刻んだものをあげたら喜んで食べた。綺麗な水も器に入れて、横に並べて置いておく。 食べている間に、自分のご飯も作る。
今朝のメニューはツナと卵と葉野菜を炒めたものをトーストに乗せ、その上にさらにチーズを乗せてトースターにIN。 焼いてる間に、簡単ミルクスープを作る。人参・たまねぎ・じゃがいも・キャベツ・ソーセージを小さく切って早く火を通しやすくして。ミルクとバター、隠し味の味噌と生姜を入れて火が通れば完成だ。
 美味しい。ボリュームがあり、なおかつバランスの取れた食事は満足感が違う。ゆっくり噛みしめながら、全てを胃の中に収めていく。平らげたところを見計らって、ヒヨ丸が鳴き声をあげた。

『どうしたのヒヨ丸?まだご飯足りないの?』
「ピーヨ!」

 再び鳴き声をあげ、トテトテと歩いてはリオをチラ見する。気になったリオが後をついていけば、目的地はあの扉だとわかった。 以前もそうだったが、ヒヨ丸はどうも扉に誘導する気満々なところがある。
普通のヒヨコなら、もっと自由に歩き回るなり眠るなりするはずだ。 扉の前でピヨピヨ鳴き、『扉を開けて!』と催促するはずがない。病み上がりですぐにあちらへ行こうとは、さすがに考えていなかったのだが。 ヒヨ丸があまりにたくさん鳴くのと、まだ白ひげの船に繋がっているのか気になって。思わず、扉を開ける気になってしまった。
 その前に、服を着替える。扉からは冷気も熱気も漂っては来ないので、おそらくこちらと同じ気温と思われた。 なので青のキャミソールの上に白いTシャツを着て、下は動きやすいようにジーンズを履き。財布と念のために風邪薬をベルトのポーチに入れて、靴を履き準備万端。 ヒヨ丸を抱え、リオは扉を恐る恐る開けた。

『!ここはっ・・・!!』
「ピーヨ♪」
 大きな噴水が目立つ島。リオには、1つしか心当たりがなかった。
『W7ッ・・・!!』


[*前へ][次へ#]

2/13ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!