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『意識が戻ったんですね、よかった!』
「……あんた、誰だ?」
『私は入谷リオと言います。雪の中で血まみれになっていたあなたを家まで運んで、お医者様に治療してもらいました』
目が覚めたばかりでは混乱すると思って。リオは簡単な説明だけに留めておいた。とりあえずは、無事に意識が戻ったことに安心する。 血を大量に失い過ぎて、もしかしたら意識が戻らないかもしれないと。サク爺が言っていたからだ。 そうなった場合は、警察に全てを任せるとも言っていたので。起きてくれて本当によかった。
『今はゆっくり休んでください。ひどい傷だったんです、助かって本当によかった……』
「………………すまないが、聞きたいことがある」
『なんでしょう?』
「俺を見つけた場所の周辺に、子どもがいなかったか……?」
この人の子どもだろうか?だけど、あの場所には誰もいなかった。おかしなことに、雪以外は何もない場所だったのだ。
『いいえ、誰もいませんでした。……あの、あなたのお子さんですか?』
「いや、違う……が。大切なやつなんだ、……うまく逃げてくれていたらいいんだが……」
最後の方の言葉は、小さすぎて聞き取れなかったが。どうにも、気になる。この人は、ロシナンテにソックリだ。似すぎている。まさか、と思ってしまう。だけどそんなこと、ありえない。まさかマンガのキャラクターが、現実に現れるなんて。
「そういえば、名乗りおくれてすまない。俺の名前はロシナンテだ」
まさかのまさかだった。原作の、見た通りの、あの素敵な笑顔で。彼はロシナンテと名乗った。 リオは目をむいて驚いた。どうして、なぜ、なんて心の中で叫んでも彼は今ここにいる。それに、自分が助けたんだ。マンガのキャラクターだろうとなんだろうと。助かった命、今さらどうこう考えても仕方がない。
『ロシナンテさん、ですね。私のことは入谷でもリオでも、好きに呼んでください』
「ならリオで。助けてくれて、ありがとう」
『いいえ。助かってよかった』
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