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 お代を渡そうとしたら、男の人が回復したら請求するから。受け取らないと言われてしまった。 このパターンは、きっと。男の人の対応次第で、お金を受け取らない気だ。いつもそうだ。 人がいいといえばそうだが。いつもこんな調子なので、せめてリオだけでも。何かしらお礼がしたいと思っているのだが。手を変え品を変え、いろんな物を渡そうとしたのだが。全部受け取ってもらえなかった。 今は折に触れて手料理を持っていく、ということでなんとか落ち着いたが。今回のことで、もっと豪華な料理を届けようと決めた。

「点滴の交換の仕方はわかるな?」
『以前教えてもらったから、覚えてる』
「容態が急変したら、すぐに連絡しなさい。……本当は、儂の診療所に連れていきたいんじゃが……お前さんと二人がかりでも運べやせん」
『そうだよね……』
「いいか?容態が急変しなくとも、何かあったらすぐに連絡するんじゃ。例え男が襲ってきても、あのケガだ。無理やりどうこうは出来んだろう」
『……はい』
「また明日診に来るからな!」
『ありがとう!』

 そう言って、サク爺は帰っていった。最後までリオのことを心配して、気を使ってくれる。 そんな優しい人が心配するのも、無理からぬ相手。血まみれで倒れていたことと。体格が良い上に、明らかに堅気じゃない服装のおかげで。男の人は完全な不審者だ。 でも、あからさまな不審者にしか見えない男の人だろうと。リオにはそうは思えない理由があった。なぜなら――――

『ロシナンテ、だよね。どう見ても……、コスプレ?』

 ワンピースのキャラクター、ロシナンテ。コードネームはコラソン。王下七武海の一人、ドフラミンゴの実の弟で元天竜人。海軍に所属していて、兄であるドフラミンゴを捕まえる為に。わざわざファミリーに潜入していた。

『あらためて設定を思い出すと、なんだか凄い人だけど……。確かお兄さんに、スパイだってバレたんだっけ?』

 そして、守りたい者を守って死んだ。そんな最後を迎えた人だった。

『化粧も落としたけど……素敵な人だなぁ』


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あきゅろす。
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