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エースからの申し出に、リオが真っ先に思ったことは“なんで?”だった。何度でも言うが、二人は出会ったばかりだ。出会って間もない相手に、エースにとって大事な親父の船に乗れとなぜ言える?何か目的があるんだろうか? リオはエースの全てを知っている訳ではないが。大抵のことは見て知っている。だからこそ、悪い意味で誘っている訳ではないことはよくわかる。だけど、それではなおさらわからない。 なんのメリットも考えず、一般人の女を海賊船に乗せたいなんて言うのか?あのエースが?? それに、まだエースの口から海賊なんだとも。乗る船が海賊船なんだとも聞いていない以上。なんと言っていいのかわからず、リオが困った顔をしていると。エースが慌てて説明し始めた。
「その、なんだ、女の一人旅は危ないだろ!?親父の船に乗ったら、危険な目に合う確率は低いし。俺が守るしな!」
どうやら、リオを心配してのお誘いだったらしい。色々事情を知りすぎていると、こんなところで弊害が生まれてしまう。厄介なものだと、リオは心の内でソッとため息をこぼす。 そして同時に、思い出した。もしかして、もしかしてと考える。これはもしや、チャンスが訪れているのでは?と。リオはエースに疑われないように、細心の注意を払って質問を投げかけた。
『ねぇ、聞いてもいい?』
「なんだ?」
『エースって、もしかして海賊?』
「言ってなかったか?」
『聞いてないよっ』
「白ひげ海賊団、俺は二番隊隊長だ」
『白ひげ・・・、四皇の一人よね。あなたが二番隊の隊長なら、他にも隊長がいるのよね?』
こんなところで、言い方は悪いがのんびり過ごしている以上。まだ、あの『事件』が起こっていないのかもしれない。もしかして、と望みをかけたい。 かけたところで、リオ一人がどうにか出来るほど簡単な案件じゃない。一人の命ではなく、多くの人のーーーー・・・エースの命がかかっている。 もし『彼』が生きていたなら、どうにかしたいと。思うだけでも、願うだけでも、罪にはならない。だって、生きていてほしいとみんなが願っていたからだ。簡単なことじゃないのは、知っているしわかっている。・・・だけど、
「一番隊隊長のマルコ、三番隊隊長のジョズ、」
いいよね?
「四番隊の隊長『サッチ』」
助けられる命なら、助けても・・・いいよね?だって死んでほしくない、死んでほしくなかった。生きていてほしかった。エースの太陽のような笑顔を、消してしまいたくなかったんだ。 その為なら、多少の危険なんて関係ない。サッチが生きているなら、悲劇は回避出来る。回避してみせる。でなければ、なんの為に自分はワンピースの世界に往き来出来るのかわからなくなる。 他に理由があるのかもしれないが、それを今知りえることは出来ない。なら、今は、自分に出来ることをやろう。
『私に出来ることは少ないけど・・・』
でも、やることはわかってる。
『それでもいいなら、乗せてもらえないかな』
救うなんて、おこがましいことは言えない。だけど、それでも。どうにかしたいと思うことを、どうか許してほしい。
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