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 だけど腕が良いのは確かなので。出来る限りのことはやってくれるはずだ。リオは、そう信じていた。

「怪我人はどこじゃ!?」
『家の中!体が大きくて重いから、全然動かせなくて……』

 診療所のロゴが入った車で駆けつけたサク爺を、リオは外で出迎えた。家の中にいる怪我人の元へ案内する為だ。 どんな怪我の状態なのか。詳しいことをリオに聞きながら、サク爺はふと眉を寄せる。どうしたのかと尋ねれば、一番大事な情報が抜けとる!と怒られた。 何か伝え忘れがあっただろうか?確かに電話の時は、慌てていたから最低限のことしか伝えられなかった。もしかして、そのせいで治療に必要な道具を忘れた?それは最悪なパターンだ。

「怪我人は、男なのか」
『そうよ?さっきも言ったじゃない』
「嫁入り前の娘が怪我人とはいえ男を連れ込んだのか!?」
『伝え忘れの情報って性別のこと?!しかもなんかずれてるよサク爺!』
「やかましい!!いいか、怪我人とはいえどんな素性のモンかわからん男を簡単に家の中に上げるものじゃない!」
『だってまだ生きてたんだもん!助かる命を、見殺しにすればよかったって言うの!?』
「そうは言うておらんわい!!そういうのは警察に任せるべきだと言うておるんじゃ!」
『そんなの考える余裕なんてなかった!!』
「威張って言うことじゃないわい!」

 ケンカをしながらも、走ることはやめないサク爺は医者の鑑と言えるだろう。なんだかんだ言いつつ、結局はきちんと診るつもりがあるのだから人がいい。そして優しい。 ようやく、男の人を寝かせた部屋に案内すると。側へ一目散に駆け寄り、診察と治療を開始した。 さっきまでさんざん文句を言っていたのに。同じ人とは思えないほど、真剣に。そんなサク爺は、最高にカッコイイおじいちゃんだ。 ――――――結論から言うと、治療は無事に成功した。後すこし発見が遅かったら、危なかったとサク爺が言ったので。早く発見出来てよかったと、リオは心からホッとした。助かってよかった、本当に。死ななくてよかった。


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