main 桃の花 次の日。 優等生に見られてるから、早めに登校は欠かせない。 それでも、かなり早すぎたかも。 だって誰も来てないし! 「あーあ……、やっぱりもう少しゆっくりしておけばよかった!」 そうすれば、特性のデニッシュサンドをもう一つ食べられたのに。 スープのお代わりもできた、非常に残念。 昨日作った、コンソメオニオンスープは最高に良く出来た。 帰ったらまた飲もう。 「あれ……?こんな時間に人がいるなんて、珍しいな」 美少女、キターーーーーー!!!! さらさらの綺麗な髪、均等の取れたスタイル、しなやかに伸びる手足。 ……私、なんで男に生まれなかったんだろう? いや、別に女同士でもいっか。 ムラムラするけど、今は誰が来るかもわからないし。 我慢しよう、そうしよう!←危険 「まだ学校に慣れていないから、早く来すぎちゃって……」 「あっ、ならあなたが私のシャーペン拾ってくれたっていう藍原さん?」 「えっ、じゃああなたが……」 「はじめまして!桃井さつきです」 「あらためて、藍原ユウナです。よろしくね」 「こちらこそよろしくね!それと、拾ってくれてありがとう」 「ううん。青峰くんが偶然通りかかったから、桃井さんのシャーペンだってわかったんだよ」 女同士、キャイキャイと話に花を咲かせる。 正直いままで、声をかけたのもかけられたのも男の子ばかりだったから。 女の子同士で仲良く出来るのは、嬉しいな。 「そういえば、桃井さんはどうして教室に?」 「そうそう!部活の朝練に必要な資料があったのに、うっかり忘れちゃって。それで取りにきたの」 「部活?どこの?」 「バスケ部だよ。私、バスケ部マネージャーをやってるの」 「へ〜……。なら、青峰くんと同じなんだ」 「うん。昔から、サポートするのは好きだったしね。ちょうどいいかなって」 サポート得意なのか、桃ちゃん。 ますますお嫁に欲しー……じゃなくて! 「青峰くんに、今度バスケ部見に来いって誘われているの」 「そうなんだ!珍しい……『女なんてキャーキャー言ってうるせーだけだ』とか言ってたくせに」 「そういうのはミーハーな女だよ。私はそんなことは致しません!なにせ、淑女ですからっ」 キリッ、とキメ顔で言ってみた。 この顔で桃ちゃんが惚れてくれたらいいな、なんて一ミリたりと思ってなんかいないんだからね!! 勘違いしないでよね! …………私は何になりたいんだろう? 「ふふっ、藍原さんのそういうところが気に入ったのかもね」 「そ?褒められているのか微妙だわ」 「褒めてるんだよ!大ちゃ、……青峰くん、バスケ部のこと以外には関心持たないから……」 側にこんなに可愛い幼なじみがいるのに、興味を持たない……だと……!!? よしわかった。 「桃井さん」 「はい?」 桃ちゃんの両手をガッシと掴み、キラキラ星が輝く瞳で覗きこんでキメ台詞を言った。 「ふつつか者ですが、よろししくお願い致します!!」 桃ちゃんは目をパチクリさせた後。 その意味を深く理解はせず、こちらこそよろしくねと柔らかく笑ったのだった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |