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お昼休み



あれからあっという間に、授業時間は過ぎた。
いくら世間一般的に、レベルが高い授業内容でもわかりきっていることを教えられるのは、退屈なものだ。
復習になるって言ってた人もいたけど。
退屈なのは、基本的に嫌なことには変わらない。
アクビをかみ殺しながら、時が過ぎるのを健気に待って。
ようやくお昼休みになった。


「紫原君、お昼はどうするの?」
「んー、食堂に行くー」
「そうなんだ。……私、お弁当だから」
「あっそ」


友達うんぬんはどこいった!?ってな感じで。
紫原君に食事に誘われることもなく、かといってこっちから誘うには、きっかけがないというか。
紫原君は、さっさと教室から出ていってしまう。
入学式も終わってだいぶ経った時期だから、すでにグループが出来上がってる中には入れそうにない。
ていうか、入る隙間もないくらいに密集してるし!
私は仕方なしに、手作りお弁当を持って屋上に向かうことにした。


「あったかーい。お日様ぬくぬくで気持ちいい〜眠い〜!」


ご飯をパクパク食べながら、春の陽射しを浴びて御機嫌な私は。
一人ぼっちという現実も忘れて、どこまでも広がる青空を見上げた。


「綺麗だな〜……空って、なんでこんなに綺麗なんだろ?」
「自分の心が綺麗だから、空も綺麗に見えるんだ――――って、本には書いてありましたよ」
「そうなんだ、でも信憑性ない話。私、綺麗な心の持ち主じゃないよ」
「心は理解するものではなく、感じるものだとも書いていました」
「それはわかる。相手の心を感じたいって、そう思えばたいていの人とは打ち解けたからなー」
「……そう思ってはいても、実際は難しいんですよ」
「そうだね。でも、私はこれからも感じたいんだ。いろんな人の、いろんな心を!この綺麗な青空を、素直な心で感じたように!!」
「素晴らしいことですね」
「ありがとう!――――――ところで、君は誰?」


自然体で話していたから、本当に今さらだったんだけど。
いつの間にか、私のすぐ側でお弁当を食べている男の子がいた。
この子の身長は年並の高さで安心する。
紫原君は、本当に大きかったから……。
正直、日本人なめてました。


「失礼しました。僕は黒子テツヤです」
「自己紹介ありがとう!私は藍原ユウナです、今日この学校に編入してきたばかりなの」
「藍原さんですか……よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく!」


これは、これは、こ・れ・は!
正真正銘、間違いなく!友達になったってやつですか!?
人生初の、普通な友達!!
個性的でもなくて性格悪そうでもなくて!
まったく平凡で、全体的に平均値しか出なさそうな……そんな普通の友達!!!


「黒子君!」
「はい」
「これからよろしくね!!」
「?はい、よろしくお願いします」


ようやく、普通の友達ゲット☆
私の何げない平凡な毎日は、まだ始まったばかりです。








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あきゅろす。
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