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始まったよ



普通の青春を体験したい。
私の願いを叶えてくれたのは、とある名門校でした。


「わぁ〜、おっきー学校!」


帝光中学校。
中学バスケットボール界の頂点に立つ名門校。
部員数は100人を超え、全中で3連覇をなし遂げた実績を持つ。
ここなら、こんなに多く生徒が在籍する学校なら。
私の願いを叶えてくれる。


『友達たくさん作って、なにげない普通な毎日を送って……普通の学生みたいに過ごすの!すっごく楽しみっ』
『気をつけてよ〜?正体バレたら、色々困るんだからね?』
『大丈夫!日本では、昔から絶対バレない変装があるってネットに書いてあったの。その格好をしたら、絶対バレないわ!』
『待って、まさか今やってるおさげに瓶底メガネが変装って言うつもりじゃないでしょうね!?』
『これぞジャパニーズファッション!って、皆言ってたわ』
『間違ってるから!!根本的に間違ってるから〜〜〜!!!』


着替えて〜〜!!と、泣く泣く言っていた協力者である女性を振り払い。
藍原ユウナ、18歳。
己の欲求を満たす為、帝光中学に編入いたします!!


「皆さ〜ん、編入生の藍原ユウナさんです。仲良くしてあげてね」
「よろしくお願いいたします」


 一斉に視線が私に集まる中での自己紹介。
深々と頭を下げ、挨拶を無難にこなし。先生に言われた通りの席に座る。
席に座るまでに聞こえてきた、クラスメイトのガッカリなどの嘆きの声に。


自分の正体はバレてない。


むしろ見た目通りの地味で真面目な優等生としか見られてない!
やっぱり情報は正しかった!!
私が心の中でガッツポーズをしていると、急に影が差す。
私の身長は結構高いので、席も後ろの方なんだけど。
私のさらに後ろの席に、座っている生徒がいた。


(日本人って、しかも中学生ってこんなに身長高かったっけ?他の子は小さいのに……この子、大きいな)
「……ねぇー」
「え、私……ですか?」
「お菓子持ってないー?」
「は?」


いきなり話しかけられるのには慣れてるけど、脈絡無くて話の内容が理解出来ないことにはついていけない。

お菓子持ってない?って。
編入してきたばっかの人間に、いきなり訳のわからないこと聞くのが『普通』のことなの?
普通ってわからない……。


「今日、忘れてきちゃったんだよねー……買いにいく時間ないしー。まいう棒とか持ってないー?」
「まいう棒、というものが何かわからないんですけど。チョコの袋詰めなら……」
「貰っていーい?」
「よろしかったら、どうぞ」
「ありがとー、えっとー……」
「藍原ユウナです」
「なら、ユウちんって呼ぶね。俺、紫原敦って言うんだー、よろしくー」


これはもしや、初めてのお友達というやつか!?
お菓子をあげて意気投合、そしてそのまま仲良しに!!
やった!これで私も、普通に一歩近づけたかな?









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あきゅろす。
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