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第零話―01―



黒に赤色のラインが入ったジャージに、赤地のチェックのプーリーツスカート。
黒色のスクールソックスに同じく黒色のローファー。
黒色の革製のスクールバック。
胸元には紅色の大きめのリボンが堂々と飾られている。

俺はそのリボンを見てはっとした。
紅色のリボンの真ん中に取り付けられた、金色の独特の模様が入った飾り。
あれは―――間違いない。


「特務、生徒会……」


うちの学校の特務生徒会だ。
しかも、あの服装は……


「やべーょ、オッサン。あれは……」


俺の勘違いじゃなければ―――あれは特務生徒会(アレ)の会長(ボス)だ。


さっきの会長(ボス)の言葉に逆上した男が、顔を真っ赤にさせ有らん限りの力で会長に怒りをぶつけている。

大人を侮辱するのもいい加減にしろ!―――だとか。

なんとかカントか騒いでいるオヤジを見ながら、俺は内心冷や冷やしていた。


「(まじいよ、オッサン。あいつは―――)」




決して、負けるような試合(ゲーム)はしない……








「クッククク……」


「なっ何がおかしいんだ!」


会長は顔を真っ赤にさせ、逆上する男をニヤリとあざ笑いながら、思いっきり掴んでいた男の左手をひねり上げ狭く混み合った車内で器用に男を扉へと押し付けた。


「くぁっ……!」


「オッサンさぁ……バカじゃないの?私が何の証拠もなしにこんな事すると思ってんの?」


「なっなにを……!」



会長の言葉の意味が理解できていないのか、依然として強気な態度の男に会長ははぁっと溜め息をつき、ジャージのポケットへと手を伸ばした。


中から出てきたのはカードくらいの薄い深紅色の携帯だった。会長は器用に片手で携帯を開き、暫くの間ボタンを操作する。


「これを見ても……まだそんな口が叩けるの?」


そう言って会長がピッと携帯のボタンを押すと、男が痴漢している様子がはっきりとうつっている動画が流れていた。無論、男の顔も……


男の顔からサァ……ッと血が引いていく。男の顔は、蒼白だった。


「そっそんな……!!」


「……次の駅で、降りていただきます。」



それは静かに言われた、死刑宣告だった。











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