第弐話―03―
響の姿を確認するや否や、ガバリと勢いよく抱きつくアリス。
そこに、先程の怒りの空気は無い。
「〜うぅ〜響、響響響響響響響響響響響響!!」
「……はい。」
ぎゅーっと抱きつき、これでもかと言うくらいに幸せそうに微笑むアリス。
そんなアリスを抱える響も、いつものポーカーフェイスではなく、柔らかく微笑んでいた。
「……」
思わず、黙り込む少年達。
その横では、莉乃が「流石先輩!彼氏も超美形!」と瞳を輝かせていた。
ひとしきりアリスとの包容を楽しんだ響は優しく包み込むようにアリスを見つめていた視線を、一瞬のうちに鋭くし、睨むように少年達を見た。(もっとも、ポーカーフェイスのため本当にそう思っているかどうかでは定かではない。)
「……アリス。彼等は?」
「あぁ、彼等?彼等は……」
「私に手をあげた、愚かな偽善者(オーギュシス)だよ」
そう言ってアリスはクスリと微笑んだ。
愚かな偽善者
(愚かな偽善者(オーギュシス))
(それは、次のターゲット)
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