第零話―00―
切原side
その日は朝練もなくて、寝坊したこともあってか俺は結構遅めの電車に乗った。
朝ということもあってか、電車はかなりの超満員だった。
普段、朝練のある日はかなり早くに電車にのるせいかこんな満員電車に乗るのは超久しぶりだった。
だが、周りはそうでは無いらしくなれたようすでぐいぐいと電車に乗り込んでくる。
「(あぁー早くつかねぇかなぁ……)」
ぼーと電車の外を眺めながら、ふと、斜め横を見ると、俺と同じ立海の制服を着た1人の女子生徒を見つけた。
普段なら、あっ同じ学校生と思うだけだがこの日は違っていた。
「(あれ……?)」
立海の多分一年(ネクタイのラインの色から)は顔を真っ赤にさせ、下を見るように俯いていた。
その表情はどこか恐怖に脅えたようで、目尻に涙をためていた。
それに比例するかのように、女子生徒の体がかすかに震えているように見えた。
「(……?)」
おかしい。
そう思って女子生徒の方を目を凝らして見ていると、女子生徒の真後ろにいるサラリーマン風の中年親父の手が奇妙な動き方をしているのが見て取れた。
女子生徒の後ろで、男の手が奇妙に動いている。
「(まさか)」
ジッと目を凝らして見ると、男の手が女子生徒のお尻をなでているのが見えた。
痴漢だ!!
直感的に、それが頭に浮かんだ。
「(どうすっかなぁ……)」
助けるか、助けないか……。
そりゃあ、世間一般的なにんどう?じんとく?では助けるのが当たり前何だろう。
しかも、おんなじ学校だし……
けど、それはできなかった。
「(此処で、問題をおこすとなぁ……)」
下手をすれば、夏の大会に響くかもしれない。
それだけはなんとしても避けたい。
けど、ここで見てみぬふりをするのもなぁ……
ちらりと横を盗み見ると、男の手がゆっくりとスカートの中に侵入していた。
「(オイオイ、そりゃぁ―――)」
「やばいんじゃないですか、オッサン」
「!?」
突然聞こえたその声に、俺は慌てて自分の手で自分の口をふさいだ。
一瞬、やべえ…口に出しちまった!と思ったが、どうやらそうじゃないらしい。
きずいたら、1人の女が俺の横を通り過ぎあの痴漢俺の腕を掴んでいた。
「なっ!!」
慌てて腕をひこうとする男の腕を右手でガッシリとつかみ、左手で女子生徒の腰を抱きながら、その女は涼しい顔をして……
「逃がすか、バーカ」
と言って鼻で笑った。
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