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我儘




美波「シロちゃん…」

シロちゃんは私とずっと一緒にいるの………。


だからそんな女から離れて……


冬獅郎を見つめながらそんな言葉を頭のなかで繰り返す美波。







ガラッ



美波「シロちゃん!!ここにいたんだ!!もう、今日は海に行く約束してたでしょ!!」


冬獅郎『!!?
なんで美波が……。……って黒崎も………。』

よく見ればドアによりかかっている黒崎の黒い影があった。

できれば冬獅郎と成美の邪魔をしたくなかったらしい。


冬獅郎『……海にいく約束なんてしたか??』


驚きながらも冬獅郎は覚えのない約束を頭のなかで探す。






してないよ…嘘だよ。


シロちゃんを私から奪う女を引き裂くため。

その為なら何だってするんだから…




それは美波が勝手に作った嘘だった。




美波「はーやーく!!私…シロちゃんが朝からいなくて心配したんだからッ!!」



美波は目に涙を溜め冬獅郎に甘える。



成美「そうだったの?ごめんね…。
冬獅郎くん約束ごとしてたんだね…
早く行きなよ!!私なら大丈夫だからさ♪」


そう言いながら笑うけど、どこか淋しそうな顔をする成美。


美波「あの…
私こそごめんなさい…
2人の邪魔をして……
でも……シロちゃんと前から約束してて…
楽しみにしてたから…
だから…
…今度4人で海に行こうね♪」


成美に続いて美波は泣きそうな顔をする。

これはすべて演技。





知ってるよ…

泣きそうになった私をシロちゃんがほっとくはずがない…


昔からいつも我が儘聞いてくれたもんね…














冬獅郎『ゴメン………







俺、今日寝てねぇから行きたくねぇ………。』



美波の期待を冬獅郎はたやすく砕いた。




美波「………ぇ??」

美波びっくりしたように目を見開いている。



シロちゃんが私の我が儘を聞いてくれなかった………。


こんなこと一度もなかったよ?


いつものシロちゃんなら笑ってついてきてくれたのに………




よほど自信があったため美波はショックを受けた。



美波「シロちゃんのバカッ!!!!」


なんなのよ…

シロちゃんはそんな女といた方が楽しいの!?



バンッ

美波は怒りを感じ病室を出た。



冬獅郎『…美波!!』


冬獅郎は急いで美波を追いかけようとした。


一護「……冬獅郎……ちょっと話がある………。」


それを一護がとめる。



冬獅郎『……なんだよ…お前まで………。』


一護「……いいから来い…。」


そういって冬獅郎の右腕をつかみ、廊下へ連れ出した。













一護「……冬獅郎……」


冬獅郎『…なんだ…』


一護がやけに真剣な顔をする。


冬獅郎もつられて無表情になっていた。



一護「俺は…冬獅郎と俺と美波の3人でずっと一緒にいられたらいいと思ってた…

でもいつか離れていくのはわかってる………

だからせめてその時まで3人で馬鹿して笑っていたいんだ………」



……こいつは何をいってるんだ?

俺の眉間の皺が一層深くなる。


一護「……3人の内、
誰か1人でもいなくなったら馬鹿できねぇ………。

……もし、今が3人離れていく時なら

それで構わねぇ…



少し時間が早まっただけだからな………。」


黒崎はどこか悲しげだ。


冬獅郎『………黒崎…』

一護「俺は…
美波が好きだ………。
冬獅郎は美波をどう思う?」


冬獅郎『…………。』


今まで一緒だったから……
美波が黒崎の彼女になったら、寂しくない
…と言ったら嘘だ………。





でも……



不思議とそんなに悲しい訳じゃねぇんだ………。



確かに俺は美波が好きだ………



でもそれは幼馴染みとしてで、深い意味ではねぇ………



冬獅郎は腕を組み、壁に寄りかかりながら、窓の外を見つめ、

冬獅郎『……俺は美波が好きだ…

でもそれは黒崎が思ってるほどの深い感情じゃねぇ………

……いってる意味わかるよな?』


答えがわかった冬獅郎は真っ直ぐ一護をみる。



一護「……あぁ。」


冬獅郎『……はやく美波を追いかけろ…』


一護は目で笑って美波を追いかけた。





一護「………。」




冬獅郎……



俺が言いたかった本当の意味……わかってるか?









時間が早まっただけだから………っていったけど













時間は止まりも………







戻りもしねぇからな………。












その意味をちゃんと理解できるか??
















ガラッ



冬獅郎『……ごめん成美。遅くなった。』



成美「冬獅郎くん………いいの?私ならお兄ちゃんもいるし平気だよ?」

冬獅郎『………。疲れた。』


成美「へ??」



冬獅郎『寝る。』



成美「え??」


冬獅郎『………ダメか?』

冬獅郎くんが甘えてる…

あんなに゙人に頼るのはあまり好きじゃない゙って言ってたのに。

こんなこと初めてだよね…??


成美「……ううん。ダメじゃないよ。一緒に寝よっか。」



柔らかく微笑んだ成美はベッドに俺が寝られるようにスペースを作ってくれた。


2人は向かい合って会話する。


成美「冬獅郎くん…」
冬獅郎『なんだ?』



成美「/////やっぱなんでもない。」



明日も来てくれる?

なんて、図々しくて言えないよ……












冬獅郎『明日も来ていいか?』


成美「えッ??!」




びっくりした…

冬獅郎くんってテレパシーの能力持ってたりするのかな??




冬獅郎『……嫌って言ってもいくから…成美に拒否権はねぇからな。』








成美「……毎日来てほしいよ。」



そう呟き成美は笑うと俺の腕の中で寝てしまった。


冬獅郎『……夏休みは退屈しないですみそうだな………』



………………。

黒崎と美波うまくいってるのだろうか…












やべ…












成美の胸があたる………









気持ちいいな……











冬獅郎『…………。』




やがて俺も深い眠りについた。












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