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「男らしくない! 無理かなんて、やってみなくちゃわかんないだろ!? 何で諦めちゃうんだよ!」
「だって気付いたから…!」
「何を!」
僕が怒鳴った分、武流も気に障ったのか怒鳴り返して来た。それを僕も怒鳴り返して…何だかこっちがケンカみたいになって来た。
武流は感情のままに出そうとした言葉を一度飲み込んで、額に手を当てて前髪を握りしめた。
その様子からして相当悩んでいるのは確かだった。
投げやりな態度はひとます置いておいて、僕は武流の気持ちを聞こうと思った。
「何に気付いたんだよ」
苛立ちがまだ完全には消えてなかったから、少し口調に出てしまったけど聞こうとする姿勢を見せた。
そうして待っていると、武流も何かしら決心がついたのか顔を上げた。
武流が話し出すのを固唾をのんで見守る。
「薄々は気付いてた…。でも、小さい時から傍にいて何ていうか…空気みたいな存在だった。その感情も友達以上ぐらいにしか思ってなかったんだ」
さっきとはうって変わって武流が静かに話し出す。
まるで物語を紡ぐかのように。
「はっきり自覚したのは中学にあがったぐらいかな。初めて彼女ができた時も、その子といるのにずっと気になってて…」
って、中学の時に彼女いたのかよ!
やっぱり中学ともなると、何もかも一緒って訳にはいかないか…。
「結局それでフラれたし、その想いを抱えて行くのもいい加減不毛かなって思って由香里ちゃんの告白にOKしたけど、今度も同じだった…」
「………」
えーと…要約すると武流には気になって仕方がない子がいると。
…武流にそんなに想ってもらえるなんて幸せじゃないか。
でも、不毛ってどういう事だ?
「由香里ちゃんに言われた。その子の方が好きなんじゃない!って。いつもいつもそいつの事ばっかり考えてるって。そう言われて、これってやっぱり『好き』って気持ちなんだってわかって逃げるのはやめた」
そういうとこが潔くて武流らしい。僕の好きな部分だ。
…でも、逃げるのをやめたんなら、何で諦めようとするんだ?
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