遠回りな未来
小さな芽 F
「あ…!」
反応をせかす訳でもなく、静かに僕を見つめていた慧が高い声をあげた。
僕は思わず慧の視線の先を辿ったけど、昼休みの校舎内は人が多くて、よくわからなかった。
でも慧の視線は確かに何かを追って動いていた。
「慧、何かあるの?」
必死で追ってるからさすがに気になって訊いたら、慧がいきなりこっちに視線を戻した。
「わかんなかったの!?」
「え…あ…うん」
しどろもどろ答えると、慧は大きなため息を吐き出した。
「ここじゃ一番の有名株なのにっ」
…ここに有名人なんかいたっけ?
僕が呆けてるから答えを見出したらしい。慧が急に僕の腕を掴んで連れて行く。
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