遠回りな未来
小さな芽 F
「あ…!」

反応をせかす訳でもなく、静かに僕を見つめていた慧が高い声をあげた。

僕は思わず慧の視線の先を辿ったけど、昼休みの校舎内は人が多くて、よくわからなかった。

でも慧の視線は確かに何かを追って動いていた。


「慧、何かあるの?」

必死で追ってるからさすがに気になって訊いたら、慧がいきなりこっちに視線を戻した。

「わかんなかったの!?」

「え…あ…うん」

しどろもどろ答えると、慧は大きなため息を吐き出した。

「ここじゃ一番の有名株なのにっ」

…ここに有名人なんかいたっけ?

僕が呆けてるから答えを見出したらしい。慧が急に僕の腕を掴んで連れて行く。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!