遠回りな未来
小さな芽 E
「たまにはさ…気分転換もしないと」
ちょっと変わった慧の口調に、僕は顔を上げた。
そしたら、慧は子供をあやすような目をしていた。
もしかして…『あの事』を知って…。
知られても、慧になら構わないかなって思う反面、気付かれてるなんて予想してなかったから、僕の鼓動は早鐘のようになる。
まさか…だって、慧とは高校で初めて出会ったんだもん。
真幸先輩の事だって知ってる訳ない…。
知ってたとしても慧なら言い触らさないって信じてるけど、正直まだこの『傷』には触れて欲しくなかった。
今だって、自分の気持ちを必死で押さえ込んでるのに…。
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