遠回りな未来
未来へ歩き出そう L
「わぷ…っ」

ぼんやり考え事をしながら歩いてたから、皐貴が立ち止まったのにも気付いてなくて、見事にその背中にぶつかってしまう。


「いた……な、に…?」

鼻をさすりながら見上げようとしたけど、振り返った皐貴にいきなり抱きしめられて上を向く事もできなかった。


「すっげぇ不安だった…」

そう言う声は少し震えてるように感じた。

「おまえが…あいつのとこに戻っちまうんじゃないかって…」

「………」


皐貴の心配もわかる。

あの海の日、僕はまだ真幸先輩に未練があった。
真幸先輩の事を話す僕はすごく苦しい顔をしていたはずだ。

一度はふられて、二度と会うはずがなかったのに再会して…しかも告白された。

普通はぐらついてしまいそうなんだけどね。
僕の場合、元々不安定だった心にいとも簡単に入り込んで来た人がいたから…。

そこから色々あって、今の気持ちが固まったんだ。
だから、その気持ちがあるおかげで僕は真幸先輩の前では何とか平静を装えた。

じゃないと、真幸先輩と対峙してるだけで気が遠くなりそうだった。


だけど…。


真幸先輩に酷い事をしたんじゃないかっていう罪悪感がのしかかって目頭が熱くなった。


「輝希…」

「僕…っ…真幸先輩をふっちゃった…。前なら考えもしなかったのに…っ」

僕が味わった辛い思いをさせた…それだけで、涙が止まらなかった。

僕は真幸先輩にそんな思いをさせたかったんじゃない…。

ただ、普通の先輩後輩に戻りたかったんだ。
楽しく笑い合う、そんな関係に。


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あきゅろす。
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