遠回りな未来
未来へ歩き出そう K
ちょうど正門近くまで来た時、僕の前にまた人影が現れた。

待ち合わせしてたから、いるのは当然かもしれない。
しかも皐貴は掃除当番じゃないって言ってたし。

足を止めた僕に対して、皐貴はゆっくりと近付いて来た。


「………帰ろっか」


皐貴は静かにそう促した。


全部聞いてた、よね…。

真幸先輩との事、色々訊きたい事もあるはずなのに…切り出す前に飲み込んだ言葉は全部それなんじゃないの?


そんな事を考えてたら、ぼんやりと皐貴の背中を見送ってしまっていた。

気付いた皐貴がゆっくりと戻って来て、僕の肩を優しく叩いた。


まるで…、


『大丈夫』

って言わんばかりに。


過去の事とか…気になる事は多いかもしれないけど、皐貴の気持ちはそんな事じゃ変わらないって。

あの真剣な眼差しを思い出すと、不思議とそんな気持ちになった。


でも皐貴は黙って歩いてくから、さすがに不安になってしまう。

これで話でもしながらだったら、少しは気も紛れるのに……。


皐貴の後をついて歩いていると、公園の中に入っていた。

6月になって、日差しは少し強くなって来る時期。
でも、木陰に入ると涼しくて気持ち良かった。


こういう所でお昼を食べてみたいなぁ…。


[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!