遠回りな未来
未来へ歩き出そう H
僕にとってはとてつもなく長かった掃除時間も終わり、用具を片付けると一目散に正門へ向かった。

掃除当番しか残っていない校内は人もまばらで、駆け足で正門を目指すにはぴったりだった。


昇降口に辿り着き、上履きをスニーカーに履き替える。

朝会ったばかりだけど、会うのが待ちきれないなんて…僕の気持ちも少しずつ変わって来てるのかもしれない。

昇降口から正門が見えると、胸がぎゅっと締め付けられた。
もうすぐ会えると思ったら、どうしようもなく心がはやる。


もう少し、あと少しで…。







え…っ!?


早足になっていた僕は、出口からアーケードになってる部分の柱から現れた人影に何気なく視線を向けて歩みを止めてしまう。


「どう…して…」

発した言葉は酷く掠れていて、僕は唾を飲み込んだ。
その音さえも響いてる気がして焦りは強くなる。

僕だってわかってた。
前に見た人影は間違いなんかじゃない。
同じ学園内にいるなら、いつか再会してしまうんじゃないかって…。


それが今、現実になっている。


僕の目には、あの頃は少しも霞む事のなかった…真幸先輩が映っていた。


「輝希…やっと会えた」

真幸先輩は変わらない笑顔でそう言った。

胸が苦しい…。

同じ場所の空気を吸ってるってだけで、すごく緊張してしまう。
身の引き締まる感じじゃない。どっちかっていうと、金縛りに近い感じだ。

そんな事をグルグル考えて混乱してる僕とは対照的に、真幸先輩は涼しげな表情だった。

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あきゅろす。
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