遠回りな未来
未来へ歩き出そう A
「あ…」

行く先に見える曲がり角から、ちょうど皐貴が友達らしき人たちと歩いて来るのが見えた。

ど、どうしよう…。


まだ向こうは気付いてないけど、ここで逃げたら絶対に不自然だ。
だけど、昨日あんな事があったから、自分の気持ちに気付いたとはいえ、何だか恥ずかしかった。

「僕はお邪魔かなぁ〜?」

慧も皐貴の一団に気付いたらしく、ニヤニヤしながら語尾を上げてからかった。

「慧…っ」

熱い顔で睨んだけど、慧は全然こたえてない。
それどころか、人の背中をグイグイ押して来る。

そうやって騒いでるうちに、皐貴がこっちに気付いてしまう。
友達と少し話して先に行かせたあと、何とも嬉しそうにこちらに向かって歩いて来た。

僕は…恥ずかしくてまともに顔が上げられなかった。

「ちょっと、こいつ借りていい?」

って、訊いてるそばから皐貴は僕の腕を取っている。

「どうぞどうぞ〜」

慧はまたしてもグイグイと背中を押して、僕を皐貴に差し出す。

思えばこの2人、告白した方とされた方…しかも慧はふられてる…。
なのに、何でこんなに普通に会話できんの?
はたから見ても、どこにでもいる先輩後輩だ。
僕だったら絶対無理。
別に悪くはなくても相手を避けまくってしまう。

「じゃちょっとだけな」

「は〜い」

僕の返事なんかどっちも聞いちゃくれない。
皐貴に腕を取られたまま、慧の傍から離れる。

何だか心配になって振り返ると、慧は笑って手を振っていた。

もしかしたら、心の中では泣いてるのかもしれないって…そう思うのはただの思い過ごし?

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あきゅろす。
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