遠回りな未来
未来へ歩き出そう @
心のつっかえがすべて取り払われたおかげで熱もすっかり下がり、僕は翌日には登校していた。
途中出会ったクラスメートたちは口々に心配してくれた。
その口調から、みんなの心配を推し量る事ができた。
僕は幸せ者だよ。
こんなにみんなに心配してもらえて…。
まぁ熱が出た原因も、全部自業自得なんだけどね。
「おっはよー!」
いきなり肩をバシッと叩かれた。
「いっ、たぁ…」
ちょうど昇降口に入ろうとした時で、僕はその衝撃でよろめいた。
「あ、ごめ〜ん! 病み上がりだったよね〜」
「慧…」
振り返ると、予想はしてたけど慧がニコニコしながら立っていた。
絶対さっきのはフラれた恨みも入ってた…。
でも、ちょっと…目が赤いのは僕の気のせいかな…?
「ちゃんと来れて良かったね」
「う、うん」
昨日メールは送ってたけど、登校できるかどうか僕にも自信がなかったし。
実際に起きてみたら、熱にうなされてた時の気分の悪さなんか綺麗さっぱり消え去っていたけどね。
やっぱり、気の持ちようって大事なんだなって思った。
上靴を履いて教室へ向かう。
みんなが登校して来る朝の風景は、どこか懐かしく感じた。
慧と笑い合いながら歩いていると、ここ何日かの険悪な雰囲気も嘘みたい。
あの時はほんとにつらかったんだ…。
心の欠片を失くしたみたいな、そんな気持ちを抱えていた。
ずっとずっと、あの暗闇が続くような…。
離れ離れになるなんて、もう考えたくないよ。
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