遠回りな未来
自分の気持ち L
その時、柚原先輩がいきなり僕の体を離した。

…と思ったら、噛みつくみたいに唇をふさがれた。

「ん…っ」

思わず手が動いたけど、それも柚原先輩に掴まれて全く動けなくなった。

く、苦しい〜!

柚原先輩はなかなか離してくれなかったから、段々と息が苦しくなって来る。
それでも力を込められる所は腕しかなくて、何とか動かそうとしてると柚原先輩がやっと離れてくれた。

「輝希…俺の事、名前で呼んで?」

「…皐貴(たかき)…って?」

呼吸を整えながら柚原先輩を見上げる。

「そう」

言いながら柚原先輩はもう一度顔を近づけて来た。

「ちょ…っ」

上げた声は柚原…じゃなかった、皐貴の唇の中に消えて行った。
今度は啄むような優しいキスが、角度を変えて何度も何度も降って来る。

ちらっと目を開けると、かすかに目を伏せていた皐貴と目が合った。

「好きだ…」

「…っ…」

もう何回も聞いた言葉だけど、やっぱり面と向かって言われるとめちゃくちゃ恥ずかしい!

「好きだ…」

絶対遊ばれてる!
僕の顔が真っ赤だってわかってるくせに…。

体重をかけられてベッドに二人して倒れた時も、僕の体はまるで金縛りにあったみたいに動かなかった。

びっくりして目を丸くしている僕を皐貴が見下ろして来た。

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