遠回りな未来
自分の気持ち D
最初に飛び込んで来たのは、真っ白な天井。
一目でここが病院だって理解できた。
「…あれ」
なんで自分がこんな状況になってるのか、疑問が尽きない。
「輝希…っ!」
「わっ」
いきなりのドアップ。
それが姉の幸だって気付くのには、少し時間がかかった。
「ね、姉ちゃん…?」
一瞬ほっとしたような顔をした姉ちゃんは、すぐむっとなった。
「…ったくもう! 心配かけさせんじゃないわよ」
いきなり怒鳴られた。
まぁ慣れてるからいいけど…。
本人に言ったら確実に命が危ないから言わないけど、姉ちゃんは過保護なんだ…というか、心配性?
可愛さ余ってってヤツ。
心配かけた分、100倍ぐらいになって怒られる。
顔はイイのに性格は男勝りだから手も早いけど、僕はそんなカッコイイ姉ちゃんが大好きだ。
母さんには時々性格が逆だったらって嘆かれるけど。
不意にさらっと前髪に姉ちゃんの指が触れて来て、びっくりして目をぱちくりしてしまう。
「倒れるなんて、あんたらしくないわよ?」
「………」
姉ちゃんはそのまま頭を撫でてくれたけど、僕としてはそんな情けない自分に余計落ち込むだけだった。
多分、姉ちゃんは気付いてるんだと思う…。
色々と僕が思ってる事。
でも、無理やり訊き出さないのが今の僕には一番嬉しかった。
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