遠回りな未来
自分の気持ち B
僕が教室に入った瞬間、歓声めいた声が上がった。
そんな歓声をよそに、僕は慧の姿を探していた。
慧は…、
僕を見ようともしなかった。
まるでそこだけ感覚の違う空間みたいに、僕の存在は否定されていた。
数秒間、僕は人の迷惑も考えないでしばらく戸口に立ちすくんだ。
クラスメートたちが次々声をかけて行ったけど、全く反応できなかった。
そうしていると、クラスメートたちも僕たちの間に張りつめる空気に気づき始めたらしく、気を遣って慧に声をかけたりしてくれたけど、慧の態度は全くかわらなかった。
僕が蒔いた種だってわかってる…。
だけど、こんな…存在すら否定されてるような状況でどう行動したらいいのか、段々わからなくなる。
結局、ホームルームが始まるまでに僕は慧の傍に行く事すらできなかった。
一体、どうしたら…。
授業中もその事ばかり考えていた。
母さんは学校に無理矢理行かせたけど、こんな状態じゃ来る意味ないじゃないか。
って、ここで母さんに八つ当たりするのは筋違いなんだけど、ね…。
これからどう行動するのかは僕の責任。
その行動如何によっては、僕は慧という親友を一生取り戻せなくなってしまうから。
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