遠回りな未来
交錯 O
違う事を考えながら歩いてるから、僕は何度もつんのめってしまう。

それでも、柚原先輩は振り返る気配すらない。

約束をすっぽかした挙げ句、教室でそいつが談笑してたんだからしょうがないよね…。


しばらく行くと社会準備室に着いたらしく、柚原先輩はドアを開けて僕を半ばその中に放り込むような形で手を離した。

僕にとってはそれなりに強い力で離されたから、あまり広くない部屋の奥の方までよろけてしまう。










カチン…。


僕が体勢を立て直すのと、鍵をかける音が耳に届いたのは同時だった。

「え…」

顔を上げると少し薄暗い部屋の中、それでも柚原先輩の怒りは感じられた。

「何で無視した?…何で来なかった!?」

溜めていた感情を吐き出すかのように、柚原先輩は語尾を強めた。

でも、僕の心は意外と穏やかだった。

…ううん、冷めてるって言った方が近いのかもしれない。

「もう…いいじゃないですか。僕の事なんて」

出て来たのはヤケっぱちな言葉。

「何!?」

「僕も暇じゃないんですよ…」

教室で談笑しといて何を言うのかって思われそうだけど、そんな言い訳がましい言葉が口をついて出た。

「お前…」

てっきり約束を破った事を責められるのかと思ってた。


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