遠回りな未来
交錯 S
「輝希なんか…大っ嫌い!!」
それだけ投げ付けると、慧は踵を返して走って行った。
だいきらい。
だいきらい。
だいきらい…。
まるで…拡声器で耳元に叫ばれたみたいに、慧の言葉が反響している。
バレてない時から、きっと慧を裏切ってたんだ。
慧の事、もっと大事に考えてあげれば良かった…。
海に行った事もそう。
慧の事を思えば、あの時点で断るべきだったんだ。
そしたら、柚原先輩の気持ちも知らずにすんだのに…。
すべては僕の浅はかな行動のせい。
そのおかげで、大事な親友と頼りになる先輩を同時に失くしてしまった。
「ごめんね…慧…」
今の僕には、もう見えなくなった慧の背中に呟く事しかできなかった。
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