遠回りな未来
小さな芽 A
「み〜ら〜い! 何してんのっ」
「うわ…っ」
急に背中に重みがかかって、僕は悲鳴を上げた。
その相手が背中からどいてくれて、ようやく振り返る事ができた。
「慧…重いじゃないか…」
「輝希ってば、ぼぉっとしてるんだから」
「…そんな事ないよ」
一瞬返事が遅れたのは、心を見透かされた動揺があったからかもしれない。
「暗い顔してると幸せも逃げちゃうよ?」
そう言う慧はニコニコ笑顔だ。
この佐々原慧(ささはら けい)は、高校で初めて出会ったんだけど、周りが言うには僕と同じ顔らしい。
慧は可愛い。その慧と同じ顔だとは到底思えないけど。
僕も性格的にあれぐらい可愛かったら…なんて思うほど、慧は誰からも好かれる性格だった。
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