遠回りな未来
交錯 D
「さっきのってどういう事!? 好意的って…」
「輝希ってば、そんなに可愛い顔を近付けたら…キスしちゃうよ…?」
「…っ…!」
何故か、不意に思い出したのは柚原先輩とのキスで、顔が熱くなった。
きっと耳まで真っ赤になってるんだ。
慧はおかしそうに笑ってから、咳払いをひとつした。
「さっきの言葉に他意なんてないよ。そのままだって」
やっと慧の顔は見れたけど、まだ疑いは晴れてなかった。
まだ熱い顔で睨んでると、それで慧は察したのか表情を変えた。
「そうか、気付いたのはあの態度だけにか…」
「な、何が…」
「………」
慧が答えないと、この会話には沈黙が降りてしまう。
そしたら、慧が小さく息をついた。
「何だかなー…輝希らしいというか何というか…」
もう! さっきから自分だけ納得して。
僕にはさっぱり話が見えないぞ。
「言葉のままっていうのはほんと。みんな輝希に好意を持ってるんだって」
何それ…。
「もちろん恋愛的な意味で」
ってか、ココ男子校なんですけど!
…真幸先輩と恋愛的な意味で付き合ってた僕が言える義理じゃないけどさ。
誰かを好きだっていう気持ちは推奨するけど、不特定多数にっていうのは…ちょっと困る。
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