遠回りな未来
交錯 C
お昼ご飯を食べるために教室に向かう僕たちの足取りは軽い。

普段と何ら変わりない会話をしながら歩いていたけど、すれ違う人たちの視線を感じていた。

そのあとで、何かコソコソ言ってるのも居心地悪い。

「ね、ねぇ慧…」

「あ。やっぱさすがに気付いた?」

思わず小声になってしまった僕とは対照的に、慧はあっけらかんとしている。

慧は平気なのかな…。
それとも最初から気付いてた?

「気にしなくていいよ。アレ一応好意的な態度だから……輝希への」

へぇ、そうなんだ…










「…って、ええーっ!?」

違和感があって慧の言葉を心の中で反芻していたら、ようやくその意味に気付いて思わず絶叫してしまう。

自分でもびっくりするぐらい廊下に響き渡って、周囲にいる人たちもびっくりして振り向く。

これも叫ぶように謝って、僕は慧の腕を引いてその場を急いで離れた。
手を引かれてついて来る慧は、後ろで大爆笑している。

「ちょ…輝希、面白すぎっ…っ」

笑われてムッっとなったから、振り払うように慧の手を離してやった。

そしたら、慧は腰を折って笑いながら壁を叩き出した。
全く見えない慧の態度に僕は業を煮やした。
壁を向いている慧をこっちに向き直させて詰め寄る。

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