遠回りな未来
交錯 B
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いい加減、お昼前で空腹も限界になり必死でそれに耐えて何分たったんだろう。
終業のチャイムが鳴り、化学の担当教師が残念そうに話を打ち切って化学実験室を出て行くと、みんな一斉に騒がしくなった。
化学の実験は自分で試してみたり、その結果を見るのは楽しいけど、そのあとの講義が退屈でしょうがない。
もはや苦痛の域に達してるのかもしれないけどさ…。
僕はクラスメートたちと実験機材の片付けをしながらそんな事を考えていた。
「輝希、教室帰ろ」
一足先に機材を片付け終わった慧が声をかけて来た。
それと同時ぐらいに、僕も最後の機材を片付け終わって振り向いた。
「うん。…あ、教科書」
「もう持ってるよ」
焦って自分のついていた席に行こうとした僕は、慧の行動の早さに感心していた。
「輝希っていつも何か忘れるんだから」
笑った慧をよそに僕はふくれっ面になった。
でも慧はそんな僕なんか気にもしないで、肩を叩いて促した。
ほかの人に言われば嫌味な感じなんだろうけど、慧にはそれがなかった。
冗談で言われてるっていうのもわかっってるからなのかもしれないけどさ。
当番で戸締りをしたりカーテンを開けているクラスメートに声をかけて、僕たちは化学実験室を出た。
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