遠回りな未来
小さな芽 @
ふと気が付くと、僕は教室のざわめきの中にいた。
「…っ…」
急に疲労感が襲って来て、思わず手で顔を覆った。
もうあの別れから1年ぐらい経つのか…。
ほんとに突然だったんだ。僕は別れを切り出される瞬間まで、そんな事は思いもしてなかった。
何で? どうして? って心の中は質問責めだったけど、結局それは叶わなかった。
僕の口はもちろん、手足だって凍り付いたように動かなかったから。
でも、動いたからって僕にできる事は何もなかったかもしれないんだけどさ…。
あの時まで、僕には真幸先輩だけだった。だから勉強なんて二の次だし、成績もココを合格できるレベルじゃなかった。
あれからはそれこそ一心不乱に勉強した。だって、勉強してないと気持ちがどんどん沈んで行きそうだったんだ。
そのおかげと言うべきか、県内ではトップクラスのこの学校に合格できた。
電車を乗り継いで自分のレベルに合う高校に…っていう気はさらさらなかったし、そのためには勉強がいい口実だったんだ。
成績が上がったのは僕にとっても嬉しい事だったけどね…。
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