遠回りな未来
交錯 @
週を明けても、後ろめたさは一向に消える気配がなかった。
だけど、慧に対して申し訳ない気持ちはあったから、それを埋めようと僕はできるだけ慧と一緒にいた。
慧は最初は訝しがったけど、何も訊いては来なかった。
僕にはそれで良かったんだ。
『何かあった?』なんて訊かれて、表情ひとつ変えず挙動不審にならずに答えられるなんて自信がなかったから…。
訊かれたら最後、絶対にバレてしまう。
心機一転して入学したこの学校で、今の僕に慧以上の存在はない。
クラスメートはみんな仲が良い。
気軽に声をかけたり、一緒に教室を移動したり、他愛のない会話をしたり…初対面っていう印象からはだいぶ打ち解けた。
だけど、心が一番近いのは慧だけ…。
真幸先輩にフラれた悲しみを振り払うために無我夢中で勉強してココに合格したけど、いざ合格してみれば僕は目標を見失ってしまった。
僕はどうしたらいいんだろう…。
僕にできる事って…何…?
自問自答が交替で浮き沈みを繰り返した。
僕が通っている聖(ひじり)高校は男子校ながら、地域では1、2を争う進学校だ。
卒業生は色んな分野で活躍し、有名な人たちばかり。
電車とか乗り継いで行くのも面倒臭かったから選んでしまったけど、目標のない僕にはただ暗闇だけが広がっていて不安で一杯だった。
そんな状態だから、入学式当日の僕は相当酷い顔をしていたんだと思う。
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