遠回りな未来
告白 L
夕方頃に家まで送ってもらって柚原先輩と別れた。
さっきまでは楽しくてしょうがなかったけど、お風呂に入って寝る前に部屋でくつろいでいると、次第に後ろめたさが募って来た。
誘われた時、慧はいなかったから僕と柚原先輩が顔見知りになってるなんて知らないはず。
慧があんだけ騒いでて…多分、話した事だってないと思う。
でも、いくら誘われた側って言っても誰が見たってあれはデートだ。
僕としてはそんな意識は全然ないんだけど、特別な感情を持ってる慧(たち)から見れば抜け駆け行為。
柚原先輩は、
「俺の事を好きになれ」
って言った。
あれは冗談…じゃないよね。疑うのも申し訳ないぐらい柚原先輩は真剣だったし。
だけど、行く前に思った通り『一度だけ』でいい。
僕は臆病になってしまったから…。
好きだって言ってくれた柚原先輩に、次の日には嫌われてしまうかもしれない。
真幸先輩との事で、人は心変わりするものって信じ切ってる。
また…あんな風に傷付くのは怖いから。
こんな後ろ向きな僕が柚原先輩と釣り合う訳ない。
同じ顔なら、僕より全然活発な慧の方が似合うと思う。
それに、こんな気持ちの僕が付き合うなんて僕自身許せない。
たとえ柚原先輩がほんとに真剣だったとしても…。
ごめんなさい…柚原先輩…。
なぜか、胸がしめ付けられた。
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