遠回りな未来
告白 I
「いったい、どうしたんだよ…」

僕の落ち込み具合に、さすがの柚原先輩も困り果てた様子だ。
向かう所、敵なしって感じの人でもこんな不安そうな声を出すんだって、僕は少し安心していた。

今度は僕が海に目を向けた。

「前も…こんな風に好きな人と海を見た事があったんだ。でも…フラれちゃった、クリスマス・イブに…」

「当野…」

「でもね、その人は最後まで優しかったんだ。だから恨めなくて…。僕は、自分が悪いんだ…自分が悪いんだって、ずっと言い聞かせた…」

海に目を向けていても、柚原先輩が言葉をなくしてる事で相当困らせてしまっているのが横目でわかった。

多分、柚原先輩は僕を元気づけようとして海に誘ってくれたんだ。

なのに、僕はもう終わった事に対して勝手落ち込んで、先輩を困らせて…。

こんな勝手なヤツ、フラれて当然だよね。

「自虐的になってる自分が嫌いだった。忘れたいはずなのに、まだ心のどこかではその人の事…」

「自分が嫌いなんて、そんな事言うなよ」

遮られるように言われて、僕は顔を上げた。
柚原先輩は怖い顔をしていた。
呆れてるかもしれない。
でも、僕の心は考えを改めようとはしてくれなかった。

そしたら、柚原先輩が小さなため息をついた。
怒ったのかな…。

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