遠回りな未来
告白 G
それにしても、見渡す限りの青だなぁ…。

僕の心もこんな一点の曇りもない色になってみたい。

…って、生きている限り悩みや色んな事で心が曇る事ぐらいあるだろうけどさ。
アレだよ、理想と現実は別ってヤツ。
叶わないかもしれないって心の片隅では思ってるけど、やっぱり無意識に求めてしまう…。

まぁ、僕にしてみれば高すぎる理想だけどね。
この心のどんより雲がいつ晴れるかなんて全然わかんないんだし。

ぼんやりと歩いていた僕は、不意に近くなった波の音で我に返った。

いつの間にか、こんな近くまで来てたんだ…。

今日は海を見に来たんだぞ!
内向的になってどうするよ。

自分自身に気合いを入れて、当初の目的であった海を見る事にした。

波打ち際に寄ってみると、名前もわからないような魚がチョロチョロ泳いでいた。
目を凝らしてみると、その場所だけじゃなくて至る所にいたんだ。
僕が見ている事を知ってか知らずか、不規則な動きを繰り返している。

「柚原先輩! 魚がいるよっ」

僕はこの光景を見て欲しくて必死で手招きしてるのに、肝心の柚原先輩は呑気にも思いっきり伸びをしてる真っ最中だった。

「そりゃ魚ぐらいいるだろ、海なんだから」

人の感動に水を差すような返事。
思わずぶすっとなるけど、柚原先輩は苦笑して肩をすくめた。

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あきゅろす。
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