遠回りな未来
告白 F
「わっ!」

叫んで崩れ落ちそうになるのと、柚原先輩が振り向くのは同時だった。ちょうど振り返った柚原先輩の胸の中に倒れ込んでしまう。

しかも、しがみつくようなカッコで。
カッコわる〜!!

「び、びっくりしたぁ…」

でもやっぱりこけそうになった焦りの方が大きくて、出た言葉がそれだった。

「……大丈夫か?」

柚原先輩が僕の体勢を直してくれる。
離れて顔を上げた時、僕は柚原先輩が痛そうな苦しそうな表情をしているのを見つけた。

「どうしたんですか? あ、僕…もしかしてケガしてるとことか触っちゃいましたっ?」

将来有望なサッカー部のエースストライカーにケガでもさせたら、それこそ一大事じゃないか!!
こんな僕じゃとてもじゃないけど償い切れない。
どこにケガをしてるのか確かめたくて、僕は不躾にペタペタと触っていた。

「い、いや…平気だよ」

そう言って、柚原先輩は僕の手をかわすように再び先に歩き出した。

「?」

あんなに焦ってるのは、やっぱり痛いからなんじゃないかって僕は思うんだけど、柚原先輩がずんずん歩いて行ってしまうから訊く機会を逃してしまった。

ホントに、大丈夫なのかな…。
でも柚原先輩、自分で大丈夫って言ったしね。

広い柚原先輩の背中を追いかけながら、僕は歩きにくい砂浜を進んで行く。

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あきゅろす。
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