遠回りな未来
告白 A
…そう考えると、僕は何て無為に日々を過ごしてるんだろうって思い知らされる。
せっかく猛勉強して進学したっていうのに、いまだに失恋っていう泥沼に沈んで…這い上がろうと、もがきもしない。
どんどん落ち込んで行く自分を諫めようと、僕は心持ち顔を上げた。
…って、あれ?
何を驚いたって、さっき会話を交わしたその場所から動かないで、柚原先輩が立っていたからだ。
行かなくていいのかな…。
何か理由があってそこにいるのかと思ったけど、柚原先輩は僕が見てる限りではただ『見てる』だけだった。
サッカー部も部活中みたいだし、参加した方が…。
「あの、行かなくて…」
「なぁ」
僕が心配して切り出すのを気にもしないで、柚原先輩は訊いて来た。
「うちのサッカー部、どう思う?」
って、柚原先輩の質問は何の脈絡もなく唐突だった。
だって、僕なんかに訊くより、普段から自分が肌で感じているはずなのに。
僕は返答に困った。
その末に…、
「えっと…ふ、普通ぐらいだと思います…」
こんな平凡な答えしか言えなかった。
あ〜っ! 自分のボキャブラリーの貧困さが憎たらしい!
「普通ねぇ、一番解釈に困る答えだな」
そう柚原先輩は呆れたような口調で返して来た。
「…ごめんなさい…」
包み隠さない言い方が余計にヒンシュクした。
「ん? 別にいいぜ? ちゃんとした答えを求めてた訳じゃねぇから」
僕の気持ちの浮き沈みなんか気にもしないみたいで、柚原先輩はさらりと言った。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!