遠回りな未来
告白 @
その日は慧が委員会の日だったから、僕はそれまで待つ事になった。

昼休みに連れ出してくれた慧につられたのかな…。
僕の足は自然とグランドに向かっていた。

何となく…教室に篭もってられない気分だったんだ。

僕もちょっとは前向きになれたのかな?
…って、慧から見ればまだまだかもしれないけどさ。


放課後はたくさんの運動部が部活をしている。
野球部、陸上部、サッカー部…。

「何してんだ?」

考え事をしてる最中に声をかけられて、僕はぎょっとして振り向いた。

そこには、慧が憧れているあの柚原先輩が立っていた。

何で声をかけられたのかもわからなかったから、僕はしばらく呆けてしまう。

「おい、大丈夫か…?」

心配そうに訊かれて、僕は質問された事を思い出した。

「は、はい…! えっと…見てただけ…です」

僕の動揺っぷりに柚原先輩はキョトンとしている。

「まぁ、大丈夫ならいいんだ」

そう言って、柚原先輩はニカッと笑った。

多分、こういう感じが人気者たる所以なんだと、勝手にしみじみ思ってしまう。

きっと柚原先輩も部活に来たんだ。
放課後の貴重な時間だもんね。

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