遠回りな未来
小さな芽 G
「ちょ…っ、何!?」
「もうすぐ通るから見てて!」
ちょっと興奮気味に僕の腕を取る慧は、2階の窓から階下を指した。
その人って、慧の好きな人じゃないかな…って直感的に思った。
男子校なのにって一般には思われるかもしれないけど、実際に経験してる僕にはそれを否定する要素は何もない。
むしろ、今はそういう気持ちになれないからキラキラしてる慧が羨ましかった…。
「あっ、ほら! 来たっ」
慧がぐいっと僕の手を更に引いたから、僕は現実に引き戻されて階下に目を向けた。
指される方向から出て来たのは、いかにもスポーツマンタイプって感じの人だった。
僕なんかとは違うがっちりした体型。
背も結構高そうだ。
ああいう人って、老若男女問わずモテるんだろうなぁ…。
…っと、慧があまりにもてはやすから、僕までじっくり観察しちゃったよ。
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