2-9 「なにを作っていいのやら」 途方に暮れたため息が出た。 まるで、ゴールの見えない旅路を前にしたような気持ちだ。 今、あたしとC.C.はランペルージ家のキッチンに立っていた。 もちろんルルーシュに許可をもらって(学園の調理室に乗り込むと脅せばOkをもらえた) 「すごいな空は。 お前も料理を作ることができるとは」 C.C.が驚きの眼差しをあたしに向けている。 驚き一色しかないことにちょっと悲しくなった。 「そんなに意外? あたしが料理作るの」 「そうだな。 どちらかと言えば食べるほう専門に見える」 『空って美味しそうに食べるよね』 調理実習の時に友達にそんなことを言われたのを思い出した。 友達にもそんなふうに見えたのだろう。 「と、とにかく。 料理作る点では大丈夫だよ。 だけど、問題は何を作るかだよね」 料理の腕は問題ない。 向こうにいた頃は、家族全員の毎日のご飯は自分が作っていたし。 「要するに、ルルーシュから訂正の言葉が欲しいのだろう? 完膚なきまでに叩き潰すなら、ヤツの好みを把握しなければならないな」 C.C.が言うと物騒に聞こえるのはなぜだろう。 「でも今さら聞けないでしょ。 『好きな食べ物教えて』なんて」 事前に何も言わないからこそ、好物を出した際に相手に度肝を抜かせられるのだ。 でも、ルルーシュは何でも食べそうなイメージがあるから、これといった好物は無いのかもしれない。 それ以前に、あたしの作った料理をルルーシュは食べてくれるのだろうか…。 難しいだろうな。 「私は甘いものが食べたい」 「え?」 「空。 甘いものを作ってくれ。 …………ダメか?」 「いや、ダメってわけじゃないけど…………………ってそれだ!!」 そうだよ。 『ルルーシュの好物』だなんて一点にしぼるからいけなかったんだ。 「甘いもの、あたし作るの得意なのよね。 食べることも好きだから味には自信あるし。 これでルルーシュのことギャフンと言わせられるわ」 浮かんだ秘策にあたしは勝利を確信した。 [Back] [*前へ][次へ#] |