3-7
「えっ?!
あたしが軍に!?」
帰ってきたルルーシュに聞かされた言葉は、あたしが予想すらできなかったことだった。
「スザクから聞いた話だが、簡潔に言えばそうだ。
昨日、お前が土産として持たせたアレをすごく気に入り、お礼がしたいから来てほしい―――とスザクの上司が希望しているらしい」
特派に行けるとは思ってなかったから、詳細を聞かされて行きたいという気持ちで胸がいっぱいになった。
「だが、俺としては断固反対だ」
うなぎ登りだったあたしのテンションが急激に落ちた。
「えー!!?
なんで!!」
あたしの抗議に、ルルーシュは呆れたように眉を寄せる。
「なんでだと?
分かってないな。
一般人が軍に行くってことは、住民IDの提示を求められる可能性がかなり高くなるってことだ。
お前、出せるのかそれ」
トリップした初日に聞かされた単語にウッと言葉が詰まる。
それは常に持ち歩くことを義務付けられている身分証明のようなものだ。
もちろんあたしは持ってない。
「提示しろと言われて出せるのか?」
「だ………出せません」
「―――なら、どうするべきかは分かっているよな?」
言い聞かせるような静かな口調。
いつもは冷たいかバカにするかのどちらかしかないルルーシュが、なぜか今日は真面目に向き合ってくれている。
そのおかげで、あたしはすんなりと納得することができた。
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